ターボファンエンジン(Turbofan engine)はジェットエンジンの一種。コアとなるターボジェットエンジンにファンを追加したものである。ファンを用いることにより、ターボジェットと異なり、コアエンジン部を迂回したエアフローが設定される。このエアフローにより、ジェットエンジン推力の増大および効率化が行われる。1960年代より実用化が行われ、現代のジェットエンジンの主流となっているものである。
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ターボジェットエンジンは、燃焼室で燃焼した高熱排気をノズルより噴出させている。この高熱排気の噴流が、エンジンの推進力となる。しかし、ターボジェットエンジンの排気は、亜音速で飛行する航空機と比較して、噴流が高速であった。ジェットエンジンにおける推進効率は、空気抵抗との関係により飛行速度より若干速い程度の速度である場合に最も良いものとなる。また、高熱に耐えるブレードの開発など、技術の進歩によりコアエンジンのタービンから得られる軸出力の向上は、コンプレッサー以外にも出力を与える余裕が得られるようになってきた。
そのため、開発されたのがターボファンエンジンである。基本的な構造は、コアエンジンとなるターボジェットのコンプレッサーの前部にファンを追加したものである。ファンはコンプレッサーと同じく、タービンと同軸であり、タービン出力によって駆動される[1]。また、ファンの直径は、コンプレッサーより大きくなっており、コアエンジンのみよりも空気噴出量が増大している。ファンを通過した空気は、コアエンジンに流入するものと、コアエンジンを迂回し、そのまま空気噴流として排気されるされものと分けられる。ファンのみを通過した空気噴流もエンジン推力の一部となる。
エンジン推力は、コアエンジンからの高熱排気による噴流とファン駆動により得られる空気噴流によるものの2つによって得られる。排気は高熱排気が軸となり、その周囲を空気噴流が覆う構造となる。ファンからの噴流が加わる事により、その分噴流が増加し、出力が向上する。また、高速の排気に低速の空気噴流が混合し、噴流速度が低下、亜音速飛行時におけるエンジン推力の効率化が得られる。
また、噴流速度の低下は副次的な作用として騒音の低下にもつながっている。
コアエンジンに使用する空気流入量とファンのみを通過する空気流入量の比率は、バイパス比と呼ばれる。バイパス比の比率により、低バイパス比エンジンと高バイパス比エンジンとに分類される。一般に高バイパス比のものほど、低速向きの特性になる。初期のターボファンエンジンは低バイパス比エンジンであり、後に高バイパス比エンジンが開発された。
低バイパス比エンジンは、バイパス比が概ね1から2未満のものを指す。ファンのみからの空気排気量が少なく、ターボジェットエンジンに近い特性となる。このため、高速飛行に適した特性を持っているため、超音速飛行の必要がある軍用機に用いられることが多くなっている。P&W TF30エンジンがF-111に用いられて以降、戦闘機のエンジンもターボジェットからターボファンを用いるようになった。ただし従来のターボジェットに比べれば低速向の特性であり、音速突破にはアフターバーナーの使用が欠かせない。アフターバーナー無しで音速突破(スーパークルーズ)を行うF-22戦闘機用のP&W F119エンジンは、特にバイパス比が低く、よりターボジェットに近い特性を持つターボファンエンジンである。
亜音速機では後述する高バイパス比エンジンが用いられるが、初期のターボファンエンジンは技術的限界により、亜音速機用であっても低バイパス比エンジンであった。P&W JT8Dはバイパス比が1程度でボーイング727やボーイング737などに用いれた。
ファンからの空気排気はコアエンジンの外側を通り、ノズルにおいてコアエンジンからの排気と混合され排出されるものが多い。
高バイパス比エンジンは、バイパス比が概ね3から4以上のものを指す。1960年代後半から実用化が行われた。ファンからの空気噴出量がコアエンジンからの排気と比較し、圧倒的に大きく、比較的低速の飛行に適したエンジンである。現代のジェット旅客機エンジンの主流となっている。バイパス比の向上は、亜音速飛行における燃費の向上につながる。初期の高バイパス比エンジンであるP&W JT9D(ボーイング747などに使用)はバイパス比5程度であるが、最新のエンジンアライアンス GP7000ではバイパス比8.7となっている。この値はターボプロップエンジンのプロペラ推力とジェット推力の比に近く、1段のファンにてほとんどの推力を得るため、「プロペラへの回帰」と解説するむきもある。高バイパス比エンジンでは、ファンからの空気排気はノズルでの混合ではなく、ファンの直後でエンジン外に排気されるものが多い。