『夜のガスパール』(よるのガスパール)は
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『夜のガスパール』(Gaspard de la nuit)は、モーリス・ラヴェルが1908年に作曲した超絶技巧のピアノ作品。ラヴェル自身3曲目の「スカルボ」について、当時最も難しいとされたバラキレフの「イスラメイ」をも凌ぐ演奏技巧が必要だと言っている。1909年1月9日にリカルド・ビニェスのピアノによってパリで初演。
『夜のガスパール』は、フランスの無名の詩人だったが死後に再評価され、ボードレールなどにも影響を与えたと言われるアロイジウス・ベルトランの、64編からなる散文詩集である。ラヴェルはこの詩集から3篇をイメージして、3曲からなる組曲を作曲した。
各楽章は、ソナタ楽章―緩徐楽章―ロンド楽章の順に構成されており、古典的なピアノ・ソナタが意識されている。その一方で、開始楽章と終楽章の調性が一致せず、各楽章に詩的な題名が割り振られているところは、ロマン派的な性格的小品集や標題音楽に近い。しかも和音構成や旋法的な旋律においては、印象主義音楽の類型が表れている。音楽的知識と感性、想像力が高度に統合された、ラヴェル初期のピアノ曲の最高傑作である。
オーケストラの魔術師と呼ばれたラヴェルだったが、この曲には自身の管弦楽版を残さなかった。1991年にマリウス・コンスタンがオーケストレーションを手がけ、デュラン社から出版されている。
なお、ラヴェル自身もこの曲にオーケストラ的な響きを想定していたようである。その例証として、この曲の解釈についてラヴェル本人から説明を受けたことのあるピアニストのヴラド・ペルルミュテールによれば、ラヴェルは説明の際に、特に表現については具体的なオーケストラの楽器の名前を持ち出して例示したといい、ペルルミューテルが校訂した音楽の友社から出版されているラヴェルのピアノ曲集には、そういったラヴェルの例示が記入されている。