失われた10年(うしなわれたじゅうねん、英:The lost decade)とは、ある国あるいは地域の経済が約10年という長期にわたって不況と停滞に見舞われた時期のことを振り返って総称的に指す言葉。アメリカ文学における失われた世代 (英:Lost Generation)が第一次世界大戦後の1920年から大恐慌を経た1930年代に活躍したことや、その冷笑的で厭世的な世界観を寓喩して用いられる事が多い。
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1990年代の日本において、バブル経済の崩壊は深刻な停滞をもたらした。日本銀行による急速な金融引き締め(総量規制)を端緒とした信用収縮と在庫調整の重なったバブル景気崩壊後の急速な景気後退に、世界的な景況悪化などの複合的な要因が次々に加わり不況が長期化した。銀行・証券会社等の大手金融機関の破綻が金融不安を引き起こすなど、日本の経済に大打撃を与えた。これにより、多数の企業倒産や、従業員の解雇(リストラ)、金融機関の統廃合などが相次いだ。
停滞の具体的な要因として
などが挙げられている。
また、団塊ジュニア世代が社会に出る時期であったにもかかわらず企業が採用を絞り込んだことから就職難が深刻化し、就職氷河期と呼ばれる状況が続いた。
一方でこの期間に、1990年代後半からはデフレーションに対応する形で、優良企業では有利子負債の圧縮が進展し、高度経済成長末期から続いていた日本企業の過剰なレバレッジ体質が抜本的に転換され財務体質が改善された。この企業行動は当時においては停滞の要因であったものの、財務基盤が強化された強力な企業群が形成された。流動資産を抱え込み過ぎて資本効率の低下した企業も生まれ、流動比率が高すぎる場合には遊休資産が多いとみなされ、買収の標的になるとの指摘もなされた。
1991年頃からはじまった失われた10年は、世紀末の世相の混乱(世紀末思想、阪神・淡路大震災やオウム事件、神戸連続児童殺傷事件など)や1999年から新世紀にかけてのITバブルを経て、2002年1月を底とした外需先導での景気回復により終結した。
失われた10年については研究機関や学者などが多くの研究成果を発表しており、政府も内閣府が研究会を発足させ、2007年中に報告書を出すとしている。
バブル崩壊とその後の10年余りの期間は、倒産、自己破産が激増した時代である。企業は新規採用を抑制し、就職難によるフリーターが増加することとなった。
長期にわたる不景気がデフレーションを誘発し、労働者の給与は減少傾向をたどり、非正規雇用によるサービス業従事者が増加した。
消費者の観点から言えば、デフレーションによる低価格で質のよいモノやサービスを提供する企業が増えていった時代である。衣料品ではユニクロが、小売業で100円ショップが広がっている。また、温泉宿や食べ放題などのリーズナブルなサービスも増えたと捉えることもできる。確かに失われた10年は日本の経済に深い闇を与えたが、バブル以前にはなかった新しいサービスや販売方法を確立したと考えることもできるのである。
従来、不況といえば消費全体に於いて落ち込みが発生するのに対し、同期間に於いては従来見られなかった産業形態の発達や、特定のサービスへと顧客が集中する流行現象など、不況下にあっても好成績を出す業態の存在が注目を集めている。ニッチ市場や高付加価値サービスの発展、あるいは時間的余裕で経済的な不足を補う旅行形態の流行など、幾つかの特徴的な市場の動向も注目を集めた。またバブル景気の時代には大衆の国外旅行が急速に増加したが、この傾向は同期間に於いて「短い余暇を有名な観光名所めぐりと買物で過ごす」という形態から、「多少長い余暇をあまり有名ではない名所にまで足を伸ばす」や「繰り返し特定地域に足を運び、密にその地域を楽しむ(リピーター)」という形態も見られ、バブル景気の頃に主流であった気忙しいパック旅行から、「豪華客船の旅」や「列車旅行」などのようなシフトも見られ、この中には定年退職した者の夫婦旅行や失業者の長期旅行など、従来では「慎ましく暮らす」という状態が当然であった人たちによる旅行形態も発達を見せている。