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建築家

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(最終更新 2007年11月20日 (火) 12:15。)

建築家(けんちくか)とは、自らの学的見地・論理的分析にもとづいて建築物設計し、実現に必要な知識や折衝能力・監督能力を有する人のことである。すなわち、計画・意匠面の考案者・著作者であるとともに、実現の上での技術的側面を統括・指揮する責任者である(参照: 建築)。

目次

建築家の地位

欧米

欧米における建築家は、伝統的に医師弁護士と共にプロフェッション(公益のために働く専門家)として扱われており、構造・設備などの技術者(エンジニア)とは区別される。

中世ヨーロッパにも大聖堂を築いた工匠は存在していたが、建築技術者は一般に職人と見られていた。建築家の地位が確立ししたのはルネサンス期以降で、建築家の名前が作品とともに伝えられるようになった。15世紀イタリアブルネレスキが建築家の始めとされる。当時、フィレンツェ大聖堂(サンタ・マリア・デル・フィオーレ)に世界最大のドーム屋根をかけることが課題となっていたが、巨大な足場が必要になるため、建設は非常に困難と見られていた。ブルネレスキはこの課題に合理的な解決をもたらし、足場を築かずにドームを造る方法を提案して、ドームの建設にあたった。また、万能の天才といわれた人文主義者アルベルティは『建築論』を著し、学問的に建築学を位置づけた。これらの人物の活動によって、次第に職人とは異なり、高い教養科学知識を持つ建築家の職能が確立していった。ルネサンス期以降、建築家は主に社会的な事業に関わる芸術家として尊敬を集めてきた。

日本

現在の日本においては、必ずしも「建築家」の明確な定義がされてなく、たとえ国家資格である建築士の資格を取得している人でも1割以外は設計の経験がない。そのため、米国ヨーロッパなどにみられるような建築家としての地位は存在してなく、あくまでも個人の自称に留まっているのが現実である。

日本の「建築家」

日本では伝統的に設計施工を兼ねる大工棟梁がいた。幕末明治初期に洋風建築を造った大工棟梁として二代目清水喜助(清水組)らが知られる。 Architect の概念は、明治時代以降に輸入されたもので、まずは明治政府が雇用したお雇い外国人トーマス・ウォートルスジョサイア・コンドルらが活躍した。次いで官立大学を中心に西欧の建築学が導入された。東京駅の設計で知られる辰野金吾工部大学校(後の東京大学工学部)1期生である。

Architecture は当初「造家」と訳され、1886年に工部大学校卒業生を中心に「造家学会」が設立された。やがて伊東忠太による提案を受け、1897年に建築学会(現・日本建築学会)と改称した。伊東は、「造家」では技術的な要素が強すぎるので、芸術的な要素を強調するため「建築」という名称を主張したものであったが、すでに明治6年に発行された英和辞書でconstlactionを「建築術なり」と称していた。学会も発足当初からやはり技術的な側面が強く、純粋な建築家のみでなく、施工側の建設会社も参加する団体となっていた。

これに対する反発として、大正時代に日本建築士会と関西建築協会(現・日本建築協会)が結成された。日本建築士会は設計と施工の分離を主張し、西欧の Architect に相当する地位を確立すべく、「建築士法」制定運動を起こした。1925年に「建築士法」案が議会に提出されたが、建築界全体の足並みがそろわず、成立を見なかった。

第二次世界大戦後の1950年建築士法が成立し、国家資格としての「建築士」制度が誕生した。名称は戦前のものと同じだが、その内容は戦前期に提案されたものと異なり、一定規模の建築物を手がけるすべての建築従事者が対象の資格となり、「建築士 = Architect(建築家)」というわけにはならなかった。現在に至るも、日本では「建築家」として認定するための公的認定機関は存在せず、それを名乗るのに免許証や資格証等の証明は不要で、それに代わる資格認定機関も存在しないのが実状である。

実務上は、建築設計事務所のなかでも国家資格である「建築士」を擁した登録事務所でなければ、一定規模の建築を設計・監理することはできない。他方では、前述したように「建築家」というのは資格制度上のクレジットではなく、自身では資格がなくとも、スタッフに有資格者を置くことで建築士事務所を主宰し、職業として建築家と名乗る、ということも可能ではある。

このため「建築家」の明確な定義はないが、一般的には

  1. 建築関連の何らかの賞を受賞した人物
  2. 著名建築物の設計等で広く名前が知られた人物
  3. 日本建築家協会の会員である人物

などについて、建築家と呼ぶことが多い。一般マスメディアは資格名である「一級建築士」で権威付けすることが多いが、業界内では、「建築家」という呼称が作家性の存在、また職能性を示唆するため一般に使用されている。 『新建築』『GA JAPAN』『建築文化』などの建築関連専門雑誌メディアなどを作品発表の場とする人がいわゆる有名建築家とされることが多いが、優れた設計を行っている建築家の中には、当然建築雑誌等のメディアに登場しない(したがらない)者もいる。

社団法人日本建築家協会では、建築家を職業のひとつとして扱う。建築家職能原則に従って、同協会への入会資格を以下のように定めている。

  1. 専業で建築設計監理業務を行なう者
  2. 前記業務を行なう組織の主宰者または協同者
  3. 責任ある立場で設計監理業務を行なっている者
  4. 前記の立場に相当し公的資格を持つ者(建築士

国際的な建築設計競技などでは、UIA(国際建築家連合)の会員資格を求められるものが多いが、日本ではJIA(日本建築家協会)に所属することでUIA資格保持に準拠するものとしている。

おもな関連団体

(順不同)
  • 国際建築家連合 (UIA)
  • 日本建築学会
  • 日本建築家協会 (JIA)
  • 日本建築士事務所協会連合会
  • 各都道府県、建築士事務所協会(事務所協会)
  • 日本建築士連合会(士会連合)
  • 各都道府県、建築士会(士会)
  • 日本建築協会
  • 新建築家技術者集団
  • 国際建築精算協会
  • 日本アーキテクテュラル・レンダラーズ協会
  • 日本建築仕上学会

日本と海外との比較

欧米では建築家個人の作家性や学際性の問題と、実務上の資格・責任・経験の問題とが一体となっているのに対し、日本ではいまだばらばらである。現在までJIAが中心となり、国際水準に合わせるため建築家としての統一資格制度の整備を試行してきたが難行している。

また、欧米では、建築家の社会的な自立性・中立性保持の観点から、専業の設計・監理以外で収益や給料を得る者(ゼネコンの設計部、不動産会社広告代理店の企画設計部門、大学研究者など)は、たとえ建築に携わっていようと「建築家」としては認めていない(但し、大学教授など、一定の職能資格を有し、学外において設計実務を兼任している場合はこの限りではない)。また「設計・監理」と「施工」とは互いにプロフェッションとして独立している(設計施工の分離)。対して日本では、教育と実務、設計・監理と施工の分離が明確に規定されてこなかった。このため、現在、入札方式や設計料ダンピングの問題などが浮上している。

米国

米国では、建築家と認められるためにはいくつかの試験に合格し、登録料を支払う必要がある。なお、米国の建築家は資格取得までに実施前提の建築設計に携わることを含む8年間の実務経験を必要とされる。アメリカ建築家協会(American Institute of Architects、AIA)は建築家に保証・保険などのサービスとネットワークを提供する職能団体である。身分証明に AIA を付記することは、この会員建築家にのみ許される。とはいえ、 AIA メンバーでなければ建築家ではない、というわけではなく、 AIA に所属しない建築家も多い。

英国

RIBA(王立英国建築家協会、Royal Institute of British Architects)の定めでは、「建築家」としての資格取得までに、特定の教育研修機関でのディプロマ取得と一定期間の実務経験を有することとしている。これは最短でも大学院以上の履修課程を含め6年間かかる(日本やアメリカの「学部」に相当するものを入れると8年以上)が、最短で取得できる者はまれである。ヨーロッパのディプロマ制度・実務資格も、これに準拠している。(参照:RIBAゴールドメダル

ゼネコン設計部

日本では明治時代後半から清水組などの大手建設会社が大学出の学士を採用するようになり、自社で設計から施工までを一貫して行う体制を整えてきた。この点は西欧流に設計と施工の分離を唱える立場からは問題視され、戦前の「建築士法」制定運動の中では、施工会社が設計を行うことを禁止しようという主張も見られた。しかし、現在の日本でも大手ゼネコンの抱える設計部は建築界において大きな位置を占めており、評価の高い作品も多く生み出している。

プロフェッサー・アーキテクト

大学建築学教育を行ないながら、実際の設計に関わるものをいう。日本では、古くは東京大学伊東忠太早稲田大学佐藤功一らの例がある。特に東大の内田祥三は営繕課長を兼ねて安田講堂を含むキャンパス計画を作成し、教え子を育てながら大学のグランドデザインを実現させていった。第二次世界大戦後も丹下健三芦原義信吉田五十八吉村順三などプロフェッサー・アーキテクトの例は多い。単なる理論のみでなく実務に関わることは研究上・教育上も必要であり、学生に設計実務を示すことができるなどのメリットがあるとされる。

建築に関する賞

建築家が生前に受賞できる最も著名な賞はプリツカー賞(The Pritzker Architecture Prize)である。その他の賞では、国際建築家連合から贈られるUIAゴールドメダル、王立英国建築家協会から贈られるRIBAゴールドメダルなどがある。日本においては日本建築学会賞が知られている。

著名建築家(海外)

ルネサンスから歴史主義建築

イタリア
フランス
イギリス
ドイツオーストリア

近代建築以降(生年順)

来日して活動した建築家

著名建築家(国内)(生年順)

主要な建築設計事務所

海外

日本

組織系建築設計事務所

詳細は組織系建築設計事務所を参照

ゼネコン系設計部

建築家を養成する(養成した)著名な学校

アメリカ

  • クーパー・ユニオン
  • SCI-Arc
  • ハーバード大学
  • イエール大学
  • ペンシルヴァニア大学
  • コロンビア大学
  • MIT
  • IIT



建築家とデザイナー

建築家は建築のデザイン(意匠)を行っているので、デザイナーと呼べないこともない。しかし、建築家は計画、意匠、監理までに関わるものであり、デザイナーという言葉では非常に狭い意味に留まる。

  • 欧米では設計事務所に勤めるものを建築デザイナーen:Architectural_Designerと称している。
  • 日本でも近年、組織によっては(欧米式にならい)その人の経験によって「ジュニア・デザイナー、シニア・デザイナー、 プロジェクト・チーフ」あるいは 「意匠設計者」「アーキテクチュラル・デザイナー」などと称している例がある。また、特に個人住宅や小規模店舗の建築を行う建築家やインテリアデザインやリフォームなどの内装を重視するケースについては、「建築デザイナー」などと呼ぶ例も出てきている。
  • アーツ・アンド・クラフツ運動によって生活と芸術の統一が課題になり、それを受け継いだドイツ工作連盟によって芸術と産業の統一が意図され、デザインの重要性が認識されるようになった。(建築家兼デザイナーの例として、ペーター・ベーレンスヘリット・リートフェルトらが挙げられる)。
  • 日本の建築家がデザイナーという呼び方がされないのは、工学部に属する建築学科出身の建築家が多いことや日本の建築家のデザイナーという呼称に対する偏見等に基づいているという考え方や、優れた建築は単に意匠が良いだけではなく構造面や機能性にはじまり採算性や解体の容易にまで及ぶことから、優れた建築家をデザイナーと呼ぶにはその意匠性のみを称えるようで好ましくない、とも考えられる。

素人建築家

建築の専門的な教育を受けず、建築に関連する組織や団体にも属さないまま、個人の力で建築物を構築する例がある。独力で小規模なログハウスの類を建てる例もあるが、中には芸術作品アウトサイダー・アート、など)として評価に値する(と一部でみなされる)ものがある。

関連項目

外部リンク


 建築 - 土木工学カテゴリ:建築

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