有色人種(ゆうしょくじんしゅ)とは、帝国主義の時代から20世紀中頃まで使用された人種分類である。 有色人種という言葉は、白色人種と対で使用される言葉であり、ヨーロッパ系のコーカソイドを除いた、その他人種を指す。
有色人種という概念は優生学の思想に基づき、イギリス・フランス・アメリカなどを中心としたヨーロッパ系コーカソイドが、植民地の拡大・奴隷制の維持を正当化する根拠として唱えられたものであり、そのため、自分たちと被植民地国の国民および奴隷との、外見で区別しやすい皮膚の色や血統などの特徴を利用し、人種を細分化したものである。
また有色人種という概念が提唱された当時の自然科学は、優生学の影響を少なからず受けていたため、現在のDNA分析によればコーカソイド系であることが証明されている、中東やインド亜大陸(これら地域は当時、被植民地国であった)の諸民族を有色人種に分類する等、現在の遺伝学的には根拠の無い分類方法である。
さらに、20世紀において被植民地国の独立や日本の世界進出が始まると、有色人種の中から名誉白人(名誉人種)という概念を作り出す等、非常に疑似科学的な装いを持った人種差別的概念であった。
このように、有色人種の定義そのものが自然科学的な正当性に欠ける誤った概念であり、同じように自然科学的に誤りとされる天動説のような間違った学説同様、科学史、社会史などでのみ使用されるべき概念であるといえ、科学的には死語となっている。
米国での Colored は黒人を含む「黒人の血を引く者」の意味で用いられる場合が多い。プレッシー対ファーガソン裁判にみられるように見かけが白人であってもジム・クロウ法などによる人種差別の対象とされた。ブラウン対教育委員会裁判や公民権運動の高まりにより、黒人への差別が違法とされるに伴い、米国での Colored という言葉自体が差別用語に近似する語と見做され、公式の場で用いられることがなくなってきており、一般的にも死語となってきた。
ただし、ヨーロッパおよびオーストラリア・アメリカ合衆国の、無知な一部大衆の間では必ずしも死語とはなっておらず、有色人種への襲撃事件等が発生している。