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裁判官(さいばんかん)は、司法権を行使して裁判を行う官職にある者。
各国の訴訟法制に応じて裁判官の職掌は定まり、陪審制を採用している国などでは、事実認定について裁判官が担当しないことがあることから、裁判官を法廷における審理を主宰する者として位置づけることがより妥当な場合もある。
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古来より、さまざまな犯罪や係争が存在し、ある程度の社会が作られて以降はその紛争解決制度が必要となった。
古くは、社会構造については記録なども残されておらず、具体的な様相なども不明である。部族・民族ごとにさまざまな紛争解決方式が取られており、一律に理解することもできない。主として「集団の中で権力を持つ者の裁定」や「神権裁判」などが行われた可能性が指摘されている。裁定を行う権力者や神託を告げる者などが裁判官の役割を果たした[1]。
政治体制・統治機構が整うにつれ、一般的に裁判は王・領主・宗教者などの権力者が行うものとされ、裁判人もそれらの者、ないしはその委託を受けた者が行うようになった。中世ヨーロッパでは裁判人(判断する者)と検察官(糾弾する者)が分離されてもいなかったことに注意する必要がある。長い間、刑事裁判では、裁判官は「犯罪者を糾弾する者」という役割をあわせて担っていた。
近現代に至って、裁判官の位置づけは大きく変更される。まず三権分立という概念が持ち込まれることで、裁判官は立法・行政からは切り離された。また、刑事裁判の面では、裁判所と検察が分離され、裁判官は「判断をする」という役割に専念することとなり「犯罪者を糾弾する」という役割を受け持たなくなった(→糾問主義・弾劾主義)。こういった役割分担の変更に伴い、裁判官は「極めて高度な法的知識を必要とする専門職」とされ、また裁判の公平性を維持するために「立法・行政からの影響を避けるための手厚い身分保障」が必要であるとされるに至った。
日本の裁判官には、以下の6種類がある。
日本の裁判官は、司法修習の終了後、そのまま判事補として任官し、そのまま裁判官としての経験を重ねていく、いわゆるキャリア制度によって採用されることがほとんどである。この点、アメリカ等で行われている法曹一元制とは異なる。
裁判所と検察庁では人事交流があり検察官から裁判官になる者がいる。また、弁護士任官制度が導入されており、数は少ないが弁護士から裁判官になる者もいる。逆に、裁判官を辞めて弁護士になる者も少なくないが、これらの元裁判官弁護士は、俗に「ヤメ判」弁護士と呼ばれる。
最高裁判所の裁判官については、最高裁判所長官は内閣の指名に基いて天皇が任命し(日本国憲法第6条第2項、裁判所法第39条第1項)、最高裁判所判事は内閣が任命する(日本国憲法第79条第1項、裁判所法第39条第2項)。最高裁判所判事の任免は、天皇がこれを認証する(認証官。裁判所法第39条第3項)。
現実の最高裁判所判事の任命では、下級裁判所の判事、弁護士、法学者である大学教授、行政官・外交官からバランスよく就任するよう配慮されており、前任者と同じ出身母体から指名されることが多い。
最高裁判所判事に任期はなく(但し、10年ごとの国民審査がある)、70歳に達したときには退官する(日本国憲法第79条第5項、裁判所法第50条)。
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣で任命する(日本国憲法第80条第1項、裁判所法第40条第1項)。高等裁判所長の任免は、天皇がこれを認証する(認証官。裁判所法第40条第2項)。下級裁判所の裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる(ほとんどの場合は再任される。日本国憲法第80条第1項、裁判所法第40条第3項)。簡易裁判所の裁判官は70歳、その他の裁判所の裁判官は65歳に達した時には退官する(日本国憲法第80条第1項但書、裁判所法第50条)。
通常、旧司法試験に合格した者か、もしくは法科大学院課程を修了し新司法試験に合格した者で、司法研修所における司法修習を終え法曹資格を得た者の中から判事補として任命され、10年の実務経験を経て再任時に判事になる。なお、平成15年より法曹三者6名・学識経験者5名から成る下級裁判所裁判官指名諮問委員会が、最高裁判所の諮問を受けて答申・報告を行う制度が導入されている[2]。
また、判事補で、判事補等の職に5年以上ある者の内、最高裁判所の指名する者は、いわゆる「特例判事補」として、判事と同等の権限を有するものとされる。
裁判官は、中立の立場で公正な裁判をするために、その良心に従い独立してその職権を行い、日本国憲法及び法律にのみ拘束される(日本国憲法第76条)とされる(裁判官の職権行使の独立)。
そして、裁判官の職権行使の独立を保障するために、裁判官は行政府の圧力から独立して裁判を行えるよう、強力な身分保障がされている。まず、免官される場合は、憲法上、以下の3つの場合に限られる。
さらに、行政機関が裁判官を懲戒する事はできないし(日本国憲法第78条後段)、裁判官の給与は在任中減額することができない(日本国憲法第80条2項)とされている。
シンボルは篆書体の「裁」の文字を中央に配した八咫鏡(やたのかがみ)であり、八咫鏡は真実をくもりなく映し出すので裁判の公正を表す。検察官の徽章と検察事務官の徽章は異なるが、裁判所の職員は皆このシンボルを象った徽章を使用している(裁判官が金メッキを用いるなど、細部が裁判官とその他の職員とで異なる)。
裁判官は黒い法服(最高裁判所規則上は制服)を着用するが、これは「どんな意見にも左右されない」≒「どんな色にも染まらない黒」という意味があるという。
(注:以下の批判は、もっぱら組織としての裁判所の体質に関する事項が多く、必ずしも、すべての裁判官が以下のような批判を受ける訴訟指揮を行っているわけではない。)
アメリカ合衆国の裁判制度は、大きく連邦裁判所と州裁判所に分けることができ、それぞれアメリカ合衆国憲法および各州の憲法をそれぞれ中心とする法制度により規律されている。各裁判所の裁判官となる要件は、それぞれまちまちであるが、一般に裁判官は、原則として、選挙ないしは特定の地位にある者による任命に基づいて選任される。弁護士などの法曹資格を有している者が選出されることが多いが、一般には、必ずしも法曹資格は要件とされていない。
また、行政聴聞手続を担当する者として、連邦および各州の双方において、行政法審判官(Administrative Law Judge)の職が設けられており、行政機関の決定に対する不服の審査などを担当している。
連邦裁判所には、一般的な司法裁判所である連邦地方・控訴・最高の各裁判所がある外、特別な事物管轄を有する裁判所として、連邦破産・租税・国際通商・巡回控訴・請求の各裁判所がある。このうち、連邦破産・租税・請求裁判所を除く各連邦裁判所については、アメリカ合衆国憲法第3条の規定に服することから、その任命はアメリカ合衆国大統領によってなされ、任期は原則として終身とされており、連邦議会による罷免の手続で認められなければ解職されない。連邦破産・租税・請求の各裁判所については、アメリカ合衆国議会の立法権の行使により設立された裁判所として理解されており、その裁判官については、それぞれの立法により選出方法・任期が定められている。
連邦裁判所の頂点に立つ連邦最高裁判所の裁判官は、長である首席裁判官1名と陪席裁判官8名のあわせて9名を定員とする。連邦最高裁判所の判事となるために必要な資格は定められておらず、弁護士でなくても構わない。共和党の大統領に任命された判事が首席を含め7名、民主党の大統領に任命された判事が2名となっている。一般的な司法裁判所としての連邦下級裁判所は、12の連邦控訴裁判所(このほかに巡回控訴裁判所がある)と94の連邦地方裁判所があり、各下級裁判所の裁判官定員は連邦議会が制定した法律により規定されている。
連邦租税裁判所・連邦請求裁判所の裁判官は、他の連邦裁判所同様、大統領が上院の助言と承認を受けて任命するが、任期は15年とされている。また、連邦破産裁判所の裁判官は、任期14年で各連邦控訴裁判所が任命する。
アメリカ合衆国の州裁判所の裁判官の選任方法は、各州の憲法により通常規定されており、州ごとによって異なる。通常は特定の年数の任期が定められている。選任方法について大別すると以下の通りとなる。また州の最高裁判所などの上位裁判所の裁判官と、下級裁判所の裁判官の選任方法に違いを設けている場合がある。
ドイツにおいては、法曹となる資格を得るためには、大学で3年半以上の期間、法学について履修した上で、第1次の国家試験を受験し、2年間の修習生を経て、第2次の国家試験に合格する必要がある[12]。
裁判官は各州の公募により採用されている。法曹資格の授与は州の権限であるが、いずれかの州で資格を得れば、どの州でも裁判官となることができる。採用当初の3年から5年間は試用裁判官として身分保障が制限されている。その後、ポストに空きがある場合には、公募に応じることで終身裁判官に任命される[13]。
裁判官も政党に所属ないしは政党を支持していることが珍しくない。州の地方裁判所の裁判長となるためには、さらに別途の能力認定試験をクリアする必要がある[14]。