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走り屋

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(最終更新 2007年11月13日 (火) 03:27。)

走り屋(はしりや)とは、高速道路や山岳道路などの公道を、自動車オートバイで高速に走ることを嗜好する人達を指す俗称。主に本人らが用いる語で、警察の扱い上は暴走族にあたる。報道機関などは「ローリング族」や「ルーレット族」、「ドリフト族」などとも呼ぶ。

主として深夜帯において、高速道路や俗に「」と称される曲がりくねった山岳道路などで、直線やカーブをいかに高速で格好良く走るかを追求した走行を行う。しかし公道であるがゆえに、多くの場合に法定速度の極端な超過、場合によっては車両の不正改造などによる違法行為を伴う。他の一般車や歩行者に危険を及ぼしたり通行の妨げになるほか、近隣住民への騒音被害や道路設備の損壊などが社会問題になっている。

目次

概要

「走り屋」に相当する嗜好の者は1960年代までは「カミナリ族」と呼ばれたが、1970年代以降「暴走族」として扱われるようになった。この頃からグループごとに特徴が表れ、暴力行為で制圧しようとするグループと、運転技術で勝負しようとするグループに大別される。後者が「街道レーサー」と呼ばれるようになり、走り屋のルーツへと至った。

走り屋を自称する者の多くは、自らを暴走族と認識されることを嫌う傾向があるが、警視庁の分類では「違法競争型暴走族」と呼び、「共同危険型暴走族」と並ぶ暴走族の一形態とみなしている。単独行動をとる者も少なくはないが、集団活動型もなお多く、仲間意識を重んじたり地元意識が強い点も以前と変わっていない。特に1990年代初期頃までは極めて素行の悪いチームも存在し、「武闘派」と呼ばれる者などは他のチームと抗争を起こすこともあった(ナニワトモアレを参考)。その後も、車両・部品窃盗、他チームへの暴力行為などを行う者はおり、廃油・古タイヤの不法投棄などにより検挙される例もある。

行動

レースラリーなどの競技を意識したものが多く、集団を形成している場合は自らを「レーシングチーム」と名乗ることもある。見物人も多く集まって行われる「レース」の種別は多岐にわたるが、レース競技を模しているものの合法性に欠ける行為であることから、公に広報を行って活動されることはなく、あくまでもアンダーグラウンドな行事として展開される。

正規のサーキットでの走行を、ライセンスを取得したりイベントなどで楽しむ自動車・オートバイ愛好者とは区別されるが、サーキットに行きながらも同時に公道での活動を行う者もいるため境界は曖昧であり、「公道」にこだわる嗜好があることも事実である。

呼称

通常と比較して過度に危険性の高い形での公道走行は「暴走」だが、このとらえ方に本人らは難色を示すことが多い。「走り屋」は嗜好の対象が車両の運転自体にある場合が多く、社会に与える迷惑は二次的に発生してしまう事象であるが、「暴走族」は集団で迷惑行為(暴走、暴力など)を行うことそのものを嗜好する場合が多い、という観点で区引きが可能であると主張する。ただし実際は、グループを組んで迷惑行動を目的にする走り屋もいれば、「走り」を主眼に置く暴走族もあり、両者とも様々な形態が存在するため境界線をはっきり引くことは難しい。

また、動機はどうあれ結果的に行う事柄は「暴走」であることから、社会の見方としては「大きな排気音をたて暴走行為を行う自動車」がいたときに、たとえその者が「自称・走り屋」であったとしても、無関係な一般の人にとっては区別する意義はなく、より認知度が高く実態に即した語である「暴走族」として同等に認識されることが通例である。「走り屋」の呼称にこだわる姿勢は、ともすれば自分達の行為を正当化している面もあり、インターネット上などで論争が起こっている(「走り屋」はモータースポーツへの登竜門だと主張する者もある)。

他方で「自称・暴走族」の側も、「走り屋」のことを疎ましく考える傾向にある。例として「走り屋潰し」と称し、主に逃げ場の少ない峠道などで走り屋を待ち伏せして、暴行や恐喝、車の破壊などの行為を行うことがある。「危険な走行や騒音によって迷惑をかけている走り屋を懲らしめる」などという建前を持ち出しているが、これには「反社会的」と広く認知された存在である暴走族にとって、自分達の近くに別な「反社会的」存在を置いておきたくない縄張り争いであるという考え方もある。

外観的相違点
走り屋 暴走族
車両 自動車: スポーツカー
オートバイ: スーパースポーツ、レーサーレプリカなど
高速走行に適した改造をする場合が多い
自動車: セダン
オートバイ: ネイキッドタイプなど(1980年代に作られた「旧車」に人気がある)
目立たせるための改造をする場合が多い
服装 オートバイ: フルフェイス型ヘルメット、グローブ、ブーツ、レーシングスーツ
自動車: ごく一般的な服装
かつては刺繍のされた規格外の学生服や特攻服などだが、一般的な服装も増えている
個性的なペイントが施されたコルク半というヘルメット
行動 信号がない峠道や都市高速などを高速で走行、単独走行が多いが、たまに競走などで数台が併走することもある 市街地の一般道を割と低速で走行、大きなエンジン音やクラクションを鳴らし集団走行することが多い

種別

最高速

車の限界速度を追求しながらタイムを競う。主に高速道路を利用し車線変更等を繰り返しながら高速で走行する為、一般車に多大な迷惑を掛けている。大事故を誘発する可能性は高く、夜の高速道路で貨物トラックの後部に追突するという惨事も実際に起こっている。関東地方では主に首都高速道路湾岸線東京湾アクアライン、関西地方では阪神高速道路環状線湾岸線などに出没する事が多く、東海地方では伊勢湾岸自動車道などに出没することが多い。

ルーレット族

環状道路一周を何分で走れるかを競う。関東地方では主に首都高速道路都心環状線(路線コードC1)、関西地方では阪神高速道路1号環状線、東海地方では名古屋高速道路都心環状線などの環状型の高速道路に出没する。関東地方では芝浦パーキングエリアなどのパーキングエリアに集まり、周回のスタート地点として利用している場合が多い。そのため芝浦PAにおいては特に深夜、一般車の利用ができないほど混雑することもある。年に数回警察による違法改造車の摘発がこうしたエリア(関東地方なら主に芝浦PA)で行われている。この摘発で、違法改造をしていると黄色いシールがフロントガラスに貼られ、15日以内に違法とチェックされたところを直し、警察に届け出なければならない。なお、この黄色いシールは勝手に剥がすと痕が残る封印シールである。

ローリング族(峠族)

「峠(周辺のワインディングロード)を如何に速く走れるか」を競う。コーナリング時に車を制御しきれず自損事故を起こしたり、対向車にも迷惑を及ぼす事が多い。そのため走り屋同士の間では、それぞれの地域(峠)ごとにルール設定(どの区間を走る・どこで折り返す・上り下りどちらを走る等)がされていることもあるが、一般に認められている訳ではないので走り屋自身の安全を守っているに過ぎず、一般車の巻き添え事故は後を絶たない。また、漫画などの舞台で実在する場所が取り上げられたものも多く、地元では走り屋行為の増加が懸念されているが現状ではいたちごっこの状態である。走り屋が集まりすぎて警察の取り締まりも追いつかない、あるいは騒音公害や危険走行などで周辺住民からの苦情があまりに多い峠では、夜間(22時から翌朝5時まで、など)に限り閉鎖する道路もある。

車の性能もさることながらドライバーの技術をもって速く走ることが、ドライバーのテクニックを向上させやすいため、峠族として腕を磨いた者がサーキットでの走行へ切り替えたり、プロレーシングドライバーとしてデビューする事もある。テクニックの1つとしてドリフト等も使われるが、基本的にはグリップ走行を行っている者に対する呼称である。

ゼロヨン(0-400m)

停車状態からフル加速、400メートル地点までのタイムを競う。短距離ではあるが、およそこのレース用にチューニングされた大パワー車が用いられることが多く、最高速度は200km/h前後に達し、一歩誤ると大事故を誘発する危険性がある。主に直線が続き道路幅が広い所、一般車が殆ど通行していない深夜・早朝の時間帯を好み、工業団地や港に出没する事が多い。

ゼロヨン(ドラッグレース)自体はれっきとしたモータースポーツの一カテゴリーであり、サーキット等で競技が行われる分には全く問題がない。しかし、現在日本で「ゼロヨン」と言うと公道上での非合法なレースを指すことの方が多く、カテゴリー全体のイメージダウンにつながっている。

ストリート

主に直線が多い一般道で信号機を使い、所構わず行われるゼロヨンやレース。条件さえ揃えば住宅街でも行うので近隣住民に迷惑をかけ、行為自体は暴走族と同じである。防止策として、幕張新都心のような新市街地の内、夜間無人になるオフィス街では深夜帯は街灯を消し、ストリートの参加者が集まるのを防ぐようにしている。「ストリートゼロヨン」「シグナルグランプリ」とも呼ばれ、初心者やライトチューン程度の車・暴走族崩れのVIPカーと呼ばれる高級車なども気軽に参加する事も多い所為で「走り」にあまり重きを置かない「お祭りイベント」的な行為である。

ドリフト族

車を故意にスリップさせながら走行し「いかに格好良く滑らせながら走るか」に重点を置く。主に広い駐車場や港、深夜の峠に出没する。車を横滑りさせる性質上、路面のセンターラインを越えず走ることを想定したものではない上、自動車本来の走行法ではないが故に制御不能による道路逸脱や横転などの事故がとても多い。このため出没スポット周辺の路面やガードレール等の破壊行為が後を絶たず、走行区間の前後に見張りを置いた上でセンターラインを無視した暴走行為を行っているグループや地域も存在した。また、この行為では路面にタイヤのスリップ痕が残るが、路面の白線にタイヤ痕をつけると器物損壊罪となる。

近年は合法的な自動車競技として「全日本プロドリフト選手権(D1グランプリ)」という競技も開催され、サーキットでの活動イメージを強調することでアンダーグラウンドイメージの良化を図ろうとしているが、運営会社の関連企業は公道での暴走行為を掲載した雑誌やビデオ等を堂々と販売しており、会社役員も関連企業の関係者が中心となっている。

元々正規のモータースポーツの模倣から始まった行為ではない点で他の行為に比べて独自の文化があり、近年は派手で目立つことや他人との差別化を図ることを目的としてミドルクラスや高級セダン等、スポーツカー以外の車種が使われていることもある。(車両についてはドリ車を参考のこと)

ドリフト走行の項目も参照

文化

車両

オートバイに乗った走り屋は、1980年代のオートバイブームの際にレース専用車両を模したレーサーレプリカと呼ばれる型のオートバイと共に流行した。レーサーレプリカモデルに乗り、フルフェイス型のヘルメット、グローブ、ブーツ、レーシングスーツを着用する事が多い。オートバイ雑誌の連載企画である読者からの投稿コーナーが人気となり、読者からの投稿専門の雑誌「バリバリマシン」が発刊された事も有った。代表的な漫画としてはしげの秀一の『バリバリ伝説』が挙げられる。

1980年代後半の関東方面ではFRである「ハチロク」(カローラレビン及びスプリンタートレノプラットフォームである「AE86型」の通称)やR30スカイラインが人気で、関西方面ではFFであるホンダのワンダーシビックバラードCR-Xの人気が非常に高かったが、1990年代に入るとシルビア180SX、R32スカイライン等のFR系日産車が全国的に人気車になる。

今日においては、かつてのハチロクやホンダ・シビックに代表された「ライトウエイトスポーツ」や、シルビアスープラなどの「スポーティーカー」は、既に生産されていないため、中古車市場から調達することになる。中古車としては、その年数と走行距離から見てかなり高めの価格で取引されているが、それでも新車対比では割安感があるため、昨今の走り屋と自称する者は、過去のようにスモールクラスの車ではなく、ミドルクラスの高性能モデルを選ぶ事が多く、チューンやドレスアップに資金を投入する者が多くなってきている。

駆動方式はシルビアのようなFRシビックFTOのようなFFランサーエボリューションスカイラインGT-Rのような4WDなど様々である。ただドリフト族においてはドリフト状態を維持しやすいFRが好まれる。

変速機MTが圧倒的に支持を受け、AT車乗りは侮蔑されていた。最近ではパドルシフト等の普及、ATの性能の向上、スポーツカーへのATの普及(例:ランサーエボリューションXのSST)などにより、ATと言うだけで侮蔑されることは以前よりも少なくなった。

1990年代後半以降の特徴としては、しげの秀一の作品『頭文字D』の影響で峠を攻める「ハチロク」が増えたこともあげられる。また、自動車に対する社会の風潮として、動力性能よりも快適性を求める傾向があり、経済状況や2000年代に入ってからのガソリン価格の高騰、消費者の省エネルギー意識の向上などが後押しし、生産される車も居住性に優れるミニバン、燃費に優れるコンパクトカー軽自動車が増えている。その結果としてクーペを筆頭にスポーツカーなどの走り屋向きの車が減り、走り屋は徐々に減少しつつある。

用語

ガス
ガソリンの事。欧米では一般的な呼び方。給油を「ガス入れ」と呼んだりもする。
コーナー
サーキットにおける呼称と同様にカーブの事をコーナーと呼ぶ。コーナーを走行することを「コーナリング」といい、「カーブを曲がる」とは呼ばずに「コーナーを攻める」と表現する。
ダウンヒル
峠周辺におけるワインディングロードの下りを指す。ダウンヒラーは下りが得意な者、もしくは得意とする走り屋の種類。
ヒルクライム
峠周辺におけるワインディングロードの上りを指す。ヒルクライマーは上りが得意な者、もしくは得意とする走り屋の種類。基本的にはヒルクライムではテクニックよりも車のパワーさえあればある程度速くみえてしまうので多くの走り屋はダウンヒルが得意だとしているものが多い。
チューン
エンジンを含む車体に手を加えること。走行性能や操作性の向上等を目的とする。「チューニング」「イジる」とも言うことがある。
バトル
勝負の判定をするための走行の総称。勝利の条件はその時々で異なる。「相手より先に指定された地点に到達したら勝ち」「第三者から見て明らかに差が開いたら勝ち」「先行してスタートした相手を追い抜いたら勝ち」などがあるがこれは頭文字Dの影響のためこのような考え方があるが峠で「先行している相手を追い抜く」という行為はほぼ不可能であり。また地元ルールによって折り返し地点で前後を入れ替えて「第三者からみて明らかに差が開いたら勝ち」という方法のみで大抵が1対1で行う。「バトる」と動詞になることもある。
ギャラリー
一般道の脇や高速道路のPA・SAに出没する見物人。走り屋もいれば、女性もいる。たまにギャラリーを巻き込んだ事故も発生する。ちなみに暴走行為を煽るのは違法である。
チーム
走り屋のサークルの様なものであるが、地元コースを走ることを主体、行動の目的(峠専門、首都高専門、など)が同じ、車種や搭載エンジンが同じなど形態は様々。自作のステッカーなどを貼って所属を示すことが多い。チーム同士のバトルなども存在する。
タイムアタック
コースの走行時間を短縮させる挑戦。一人で運転しながらタイムを計る、誰かがゴールで計るなど。
サイレンサー
排気音を小さくする弱音機(ミュート)。警察の取り締まり対策、一般的な良識で使用する。
直線バカ、直線番長
ゼロヨン・最高速などのジャンルにおいて、主に直線を(速く)走ることに重きを置いたスタイルのこと。場合によっては「直線しか速くない(ドライバーor車)」意味の侮蔑感を持って使用されることもある。
ハチロク小僧
一般に、ハチロクに乗る走り屋入門者のことを指す。ハチロクは中古相場も安価であったために(現在は頭文字D人気の影響で需要が急増したため価格が高騰している)、若者にも入門用として購入しやすかったことが語源と言われている。ただし、ハチロクを速く走らせる為には高度なテクニックが必要である為、ハチロクに乗っていることが入門者という事にはならない。近年では頭文字Dに影響されて、車のことを良く知らずにハチロクを買って走り屋まがいの行為をする者への皮肉の意味でこう呼ぶこともある。

街道レーサー

  • 街道レーサーとは、前述の通り以前は「走り屋」の同義語であったが、現在では「街道レーサー」とは主にシャコタン、リムの深いホイール、派手な装飾パーツなどを装備した旧車のことを指し、「族車(暴走族の改造車)」とほぼ同じ意味で使用されている。由来は、1980年代に登場したモーターマガジン社の自動車雑誌「ホリデーオート」の読者投稿コーナー「Oh!MY街道レーサー」で、前述のスタイルの改造車が数多く登場したことによる。しかし、このような改造車のレーシングチームは現在でも存在しており、こういった改造は旧車の一つのチューニングスタイルとなっているため、故意に周囲に迷惑をかける暴走行為をしているかが「街道レーサー」と「暴走族」との境界線となるが、街道レーサーと呼ばれる車は大抵大音響が出るようなチューニングを施してあるため、その境界線は曖昧である。なお、「レーサー」とついているが、実際には最高速やテクニックで競う走り屋達とは違い、危険な走りはしない旧車愛好家であることが多い。

走り屋出身のレーサー

海外の事例

海外でも、オートバイで300km/h以上の高速走行をする者がおり、また、その様子を撮影した動画がインターネット上に投稿されることもある。

関連項目

ウィキペディアでの『走り屋』の改訂履歴
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