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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(最終更新 2007年11月21日 (水) 17:43。)
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国鉄の電気機関車
TGV
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電気機関車(でんききかんしゃ)は、電気を動力源とする機関車のこと。EL(Electric Locomotive)とも呼ばれる。

目次

概要

電気機関車は電車と同様、架線などの外部電源から電力を受電し、その電力を電動機(モーター)で動力へ変換し走行する。そのため、後方に連結される客車貨車には動力装置を持つ必要がない。このような列車の推進方法を動力集中方式という。これに対し、一般の電車のように列車の複数の車両に動力装置を分散させる方式を動力分散方式という。それぞれの方式の得失は当該の項目を参照。

電気機関車は外部の架線などから電力を取り込んで動くため、ディーゼル機関車蒸気機関車のように機関車自身がエネルギー源を持つ必要はなく、その余裕を出力の増大に当てることができる。また、運転時に煤煙や排ガスを出すこともないため、列車の乗客や乗務員、沿線の住民がこれらの環境悪化に悩まされることがない。

一方、蓄電池式電気機関車という例外があるものの、一般に電気機関車を運用するためには架線変電所などを設備して鉄道を電化する必要がある。鉄道路線を電化し維持していくには大きなコストがかかるため、電化のコストに見合う路線はある程度需要のあるところに限られる。そのような需要がない路線ではディーゼル機関車などが用いられる。

電気機関車はフランスTGVなど、世界的には高速鉄道にも用いられる方式である。

なお、日本におけるその推移については日本の電気機関車史を、個々の車両形式については日本の電気機関車一覧を参照。

構造

架線などから電気を機関車内の回路に取り入れ、電動機を回転させて走行する。架線から取り入れる電源の種類により、直流電気機関車交流電気機関車交流直流両用電気機関車に分類されるほか、蓄電池を使用した蓄電池電気機関車などというものもある。黎明期には、直流電源を使用するのが一般的であったが、後に大電流を送電できる交流電源を使用するものが実用化された。交流を使用する場合は、商用電源周波数の単相特別高圧を使用するのが一般的であるが、初期には三相交流や低周波数を使用することもあった。集電方式は、架空電車線方式が一般的で、高速運転にも適するが、第三軌条方式のものもある。

電動機から出力された動力は、一般に歯車によって減速され、車輪に伝えられる。減速段数は1段であることが多いが、2段減速である場合や、一旦ジャック軸に出力され、そこからロッド(連結棒)により各軸へ出力される場合がある。電動機は、台車の各軸に1個ずつ装架されるのが一般的な方式であるが、1個の電動機で同じ台車の2軸を同時に駆動したり、2個の電動機で1軸を駆動するもの、電動機を床面上に搭載する場合もある。駆動方式は、台車装架の場合構造の単純な吊り掛け式が一般的であるが、軌道への負担や電動機への衝撃を軽減したリンク式やクイル式といった方式もある。床面上装備の場合は、ジャック軸式や歯車を用いるブーフリ式などがある。

制御方式は、直流用や交流直流両用では、抵抗制御と直並列組合せ制御が一般的である。また、加速時の空転を少なくするため、ノッチの制御段数を増やしてきめ細かい制御を行なうバーニヤ制御が併用されることがある。

交流用では一般的な低圧タップ制御のほか、整流器の機能を活用した無接点式のサイリスタ位相制御なども使用される。交流用機関車では、出力電圧を連続的に変化させることができるため、直流用に比べて少ない動軸数で同等の粘着性能を発揮することができる。

近年では、かご形三相誘導電動機を用いたVVVFインバータ制御を用いた大出力のものが多くなっている。

分類

内燃機関を駆動して発電し、その電気でモーターを回転させる形態の機関車については、「電気式ディーゼル機関車」「ディーゼル電気機関車」と呼ばれる。架線から電力を得てモーターを回転させる方式ではないのでディーゼル機関車に分類されるが、纏めて電気機関車に分類する場合もある(ニューヨーク近郊の郊外路線には、未電化の郊外区間では電気式ディーゼル機関車として、第三軌条方式で電化された都心区間では、エンジンを停止して電気機関車として運行可能な機関車が存在する)。詳細は気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式#電気式を参照のこと。

電気機関車と蒸気機関車の性能差

電気機関車と蒸気機関車では、通常、前者の方が高性能とされている。

これは、運動エネルギーに変換される以前のエネルギーを自車に蓄えず、架線からリアルタイムに取り入れている為、車両の容積をすべて動力機構に使えるのに対して、蒸気機関車はその容積のほとんどを、蒸気を発生させる為のボイラーで占めていることに由来する。

しかし、過去にはこれに異論があった。モーターという動力源の特性上、電圧制御でトルクを抑えた状態で起動し、加速と共にトルクを最大値にする必要がある為である。これに対して、蒸気機関は起動時から最大トルクを発生させることができる(なお、この点においては、ディーゼルエンジンなどの内燃機関も及ばないが、ディーゼル機関車は変速機を用いてより理想的な回転数で最大トルクを発生させることが可能な為、この点では電気車よりも有利といわれている)。最大出力の点においては電気機関車に有利であっても、重量級列車の牽引に当たってはそれほど差異はないという意見もあった。

この論議に決着をつけるべく、日本では1967年、新鶴見機関区において、EF15形電気機関車D51形蒸気機関車を背中合わせに連結して、綱引きの要領による起動力比べが行われた。結果はEF15形の圧勝であった。

以降、「起動時は蒸気機関車のほうが上」という議論はなくなった。

蓄電池機関車

蓄電池機関車(ちくでんちきかんしゃ)は、蓄電池からの電力を使用する電気機関車。英語で storage battery locomotive というので、バッテリーロコとも呼ばれる。引火性のガスが発生する炭鉱、化学工場の構内や観光用の遊覧鉄道などで使用実績があるほか、営業用に使用されていたこともある。

日本の国鉄~JRにおいては、AB10形が本線走行用の形式として唯一存在した。しかし、後に架線方式のEB10形に改造されている。

JR貨物では、DE10形に代わる新たな機関車に、この蓄電池技術を応用した車両の開発を進めている。

日本の旅客営業用私鉄路線では、宮崎交通西武山口線小田急向ヶ丘遊園線(正式名称不明)での採用例があったが、いずれも大規模なものではなく、また、全て現存しない。

国鉄・JR以外の電気機関車

かつては全国各地の私鉄など、国鉄・JR以外の多くの鉄道事業者でも電気機関車が運用されていた。だが、現在ではセメントなどの貨物輸送が主体となっている一部事業者を除けば、私鉄に在籍する機関車そのものが少なくなっている。

これは1984年の国鉄の貨物輸送体系の変化の影響により、多くの私鉄で貨物輸送が廃止・激減した事や、機関車の運転には電車と異なる操縦の技術と資格の取得が必要で、機関車の運転士を育成してもコスト的に見合わず、それまでは機関車を使用していた新車搬入や廃車回送などの車両輸送にしても、自社内に限れば他の電車による牽引や自力回送で代用できる事も多い為、電機機関車の需要自体が大幅に減少した、あるいは無くなった為である。

かつては貨物輸送における国内最大手の私鉄であった東武鉄道でも、貨物輸送が終焉した現在では機関車は使用しておらず、新車納入や廃車についても電車による牽引や自力回送で行っている。

なお、国鉄・JR以外へ平成以降に新造の電気機関車が投入されたケースとしては、大井川鐵道ED90形都営浅草線E5000形という例がある。ただし、大井川鐵道ED90形はアプト式機関車であり、都営E5000形は貨物用としての使用は想定しておらず、走行方式の違いの為に浅草線内を自走できない都営大江戸線の車両を、検査を行う浅草線にある馬込車両検修場まで輸送する為の事業用車的色彩が強く、いずれも特殊性の強い車両である。

その他

なお一定年代(おおむね60代)以上の特に鉄道ファンでない層では、鉄道模型全般を指して「電気機関車」と呼ぶことがある。

関連項目

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