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4輪駆動

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(最終更新 2007年11月18日 (日) 17:30。)

四輪駆動(よんりんくどう)とは、自動車などの駆動方法の一種。四輪ある車輪すべてに駆動力を伝え、四輪すべてを駆動輪として用いる駆動方法のこと。

目次

呼称

このようなタイヤの4つを超える車の場合、4WDではなくAWDと呼ばれる
このようなタイヤの4つを超える車の場合、4WDではなくAWDと呼ばれる

略して四駆(よんく)、英語の four-wheel drive の略で4WD、または all-wheel drive の略でAWD欧州では、四輪のうち、四輪ともが駆動輪という意味で4x4( four-by-four、フォーバイフォー)とも呼ばれる。一般的な自動車が四輪であることから四輪駆動と呼び、四輪以上を装備する自動車では総輪駆動、または全輪駆動(AWD)と呼ぶことが多く、欧州流の表記では6x6、8x8などとなる。4WDは、日本語で読めるものはできるだけ日本語で読むのが好ましいとの立場からは「よんダブルディー」、「日本語+アルファベット」の組み合わせを好ましくないとする立場からは「フォーダブルディー」と読まれる。 アメリカ国内にかつて「Four Wheel Drive」社が存在したことから、この固有名詞と区別するためにアメリカを中心に「AWD」と表することが多い。

概要

二輪駆動と比べると、四輪が駆動力を発揮するため、牽引力は大きく向上する。特に、駆動力がタイヤのグリップ力(路面との摩擦力)を上回り、空転が発生しやすい摩擦係数の低い(低μ)路面では、各タイヤの接地面にかかる駆動力を分散させることができ、空転を抑え、悪路脱出性や高速走行性に優れる利点がある。

一方、駆動系の追加は、二輪駆動に比べ、構造が複雑でコスト高となり、重量と抵抗が増えるため燃費は悪化し、ばね下重量の増加は乗り心地にも影響する。また、ドライブシャフトやギアが増えるため、音振(おとしん=NV)でも不利となる。

駆動系が追加されるため、二輪駆動に比べ、重量が重くなった分、慣性の影響を受けると言えなくもないが、四輪駆動でなくとも、何らかの装備が追加された結果重量が増えれば、同様に慣性の影響を受けるのであるから、必ずしも四輪駆動だけの欠点とは言えない。内輪差等で生じた回転差の完全な吸収が困難な形式では、回転差が車輪のスリップで解決されるため、強制スリップが発生する欠点もある。強制スリップが発生せず、前後輪の回転数差を吸収する機構もない車種の旋回時には、逆にエンジンをストールさせるタイトコーナーブレーキング現象が発生する。

広く知られるJeepのように、通常は二輪駆動で、滑りやすい路面など必要時にのみに四輪駆動に切り替えるパートタイム方式の四輪駆動車は比較的機構が簡単で安価に製造でき、常時四輪駆動の場合ほど燃費性能を落とさずに済むメリットもある。

歴史

最初の四輪駆動車は、1805年にアメリカ合衆国メリーランド州のオリバー・エバンスが製作した浚渫(しゅんせつ)船だと言われている。浚渫船を製造した工場から陸路を輸送する為に、船に車輪が取り付けられ、蒸気機関の動力をベルトで前後輪に伝えることで走行した。それ以降も蒸気機関を使用した四輪駆動車は製造され、1824年にロンドンでウィリアム・ヘンリー・ジェームズによって作られた蒸気自動車は四輪それぞれにシリンダーを持ち、デファレンシャル・ギアやセンター・デフを用いず、各輪の回転差を吸収するようになっていた。

電気モーターを使用した四輪駆動車も1900年ごろ、フェルディナント・ポルシェによって作られている。この車は、後にインホイールモーターと呼ばれる、各輪のハブに駆動用モーターを内蔵する方式で四輪駆動としていた。

ガソリンエンジンを使用した四輪駆動車は、1902年にオランダのスパイカー兄弟によって作られた「SPYKER」が最初である。この車は、前進3速、後進1速のトランスミッションと2速のトランスファーセンターデフを介し、四輪を駆動する設計で、現代のフルタイム式四輪駆動車と基本的に同じ仕組みとなっている。

1903年には、オーストリア・ダイムラー社で、四輪駆動装甲車が開発された。この車は装甲と37mm機関砲を装備した回転砲塔を持ち、前進4速、後進1速のトランスミッションとトランスファーを介して四輪を駆動した。

第一次世界大戦中、米国の自動車会社ジェフリー・モーター・カンパニー(ランブラー自動車で知られる会社のこの時点の社名)は四輪駆動トラックを設計製造している。これはクワッド・トラック(Quad Truckまたはジェフリー・クワッド、ナッシュ・クワッド)として知られている。欧州で戦う連合軍に提供され、ジョン・パーシング指揮の下、重量級軍用用途に用いられた。

二輪駆動の自動車と同様、内燃機関の性能が向上するに従い、蒸気機関や電気モーターを使用した、四輪駆動車は衰退していった。

1934年(昭和9年)に日本陸軍が依頼し日本内燃機が製作した陸軍九五式小型自動車(くろがね四起)が日本で製作された。日本最初の四輪駆動車。大東亜戦争で広く使用された。

1941年、アメリカに「ジープ」が登場した。ドイツ軍のキューベルワーゲンに相当する軍用車両としてアメリカ陸軍の仕様に対し各社の試作の中からバンタム社の案が採用されたものだった。バンタム社は当然自社での生産を望んだが、実際には生産設備の規模や品質からほとんどがウィリスオーバーランドフォードに発注され製造された。ジープは戦場の悪路を走破するための自動車として有益であることが実戦で実証された。このため大量生産され世界各地を走破した。ジープの活躍はそのため世界各地で注目を呼んだ。日本でも南方戦線で確保されたジープを日本に持ち帰りボディは似せないように同類を製作するようトヨタに依頼されたがまもなく敗戦となった。第二次世界大戦後はジープは小型四輪駆動車全般の代名詞として使われている。

戦後の日本では、民間でも悪路を走破するクルマの需要が高まったが、当初は軍用車の払い下げや、焼き直しのジープ型程度の選択肢しかなかった。それでも戦前(1930年代以前)の自動車しか知らない当時の日本人にとってジープの威力は技術において先を行っているアメリカのすばらしさを伝えるものだった。

戦後、急成長した日本の自動車産業において、1970年代前後に相次いでふたつの転機が訪れた。1967年ホープ自動車軽自動車(当時は360cc)枠で本格的な四輪駆動車「ホープスターON360」を発売した。この車両は後の「スズキ・ジムニー」の前身であり、四輪駆動車=大排気量車という形式に一石を投じた。一方、富士重工業は「ジープより快適で、通年使用可能な現場巡回用車輌」という東北電力の依頼を受けスバルff-1 1300Gバンに、日産・ブルーバードのリヤアクスルを装着したスバルff-1 1300Gバン 4WDを製作。1971年東京モーターショーに参考出展され、話題を呼んだ。一般販売用としては、翌1972年に「レオーネ1400エステートバン4WD」として発売され、「乗用4WD」という新たなカテゴリを築いた。

四輪駆動は乗用車に必須としたアウディがラリーで活躍する。1970年代には米国のカウンターカルチャーの影響を受けた日本でアウトドアブームが起こり四輪駆動車、クロスカントリーカーが流行する。この時点で、RVという日本仕様のレジャー車両の概念が形成されはじめる。その後、ニッサンのアテーサなどにより四輪駆動技術が乗用車でも採用されるようになる。そして現在あらゆる車種に四輪駆動車が登場している。


四輪駆動の種類と機構

パーマネント式(狭義)

永久直結式とも呼ばれ、最も原始的な四輪駆動方式。黎明期の試作的な四輪駆動車や、軍用車両農耕用車両の一部にのみ見られる。

前後の回転差を吸収するセンターデフを持たないことはもちろん、トランスファーすら持たないか、あるいは、持っていても二輪駆動の状態を選べないため、通常路面での使用や、高速走行にはまったく適していない。

また、前輪と同じ舵角で逆位相に後輪を操舵し、前後輪の軌跡を一致させる事で、タイトターンブレーキング現象を回避する例も存在するが、極端なアンダーステア特性の為に、スピードの向上には対応出来ない。

パートタイム式

セレクティブ式、コンペンショナル式とも呼ばれるもので、センターデフを持たない。通常は二輪駆動を基本とし、必要時にのみ四輪駆動に切り替える方式である。これは、タイトターンブレーキング現象の発生や、ハンドリングと燃費の悪化などのネガを解消し、通常路面での使い勝手を向上させたものである。

切り替えは運転者の判断で、レバーやスイッチで、トランスファーのドグクラッチの断続を任意に行うものが長らく一般的であったが、乗用車を中心に、切り替えの自動化を図った「スタンバイ4WD」へと移行している。

また、ランドローバーシリーズIのように、ワンウェイクラッチなどにより、前進時にのみ四輪駆動になる方式もある。

スタンバイ式

通常は二輪駆動で走行し、駆動輪が空転すると残りの二輪にも駆動力を伝達する方式で、センターデフを持たない。

乗用車などでは、二駆、四駆の切り替えを面倒と感じるユーザーが多く、また、直結状態に気づかないまま、通常路面で連続高速走行をするなどで、クルマを壊すトラブルも少なくなかった。そこで、切り替えの自動化を図った方式が考案された。

FFベースのものでは、ビスコドライブ社の開発になる、頑丈な円筒形ケースに多板クラッチとシリコーン樹脂を封入し、前後輪の回転差で発生する攪拌熱によるシリコンの膨張で多板クラッチを圧着し、差動を殺すビスカスカップリングをリアデフの前に挿入した方法が生まれた。これは、制御用のデバイスが一切不要で、特にVWが採用した、初期の大型のものは、レスポンスや効きも申し分ない物であった。

その後、日本メーカーから、ビスコドライブ社へのパテント料の支払いが不要で、なおかつ製造も簡単な、より安価なトリブレード(3葉プロペラ)式やデュアルポンプ式が登場したが、これらはレスポンスが悪く、かなりの回転差にならないと完全につながらなかったり、逆に繋がりが唐突であったりと、洗練度に欠けるものであった。

これらのセンターデフを持たないものでも、日本では「フルタイム4WD」に位置づけられることが多い。これは、日本において四輪駆動車の代名詞的存在であったスバルが、これらをフルタイム4WDにカテゴライズしたためと、その他のメーカーも商品名にフルタイムを掲げたためである。

一方、FRベースのものでは、ABSの普及により車速センサーを備えるクルマが増えたことから、それを駆動輪の空転検知に利用し、自動的に四輪駆動に切り替わる方式が考案された。前輪への動力の断続には電子制御の多板クラッチを用いており、その特性を生かし、必要に応じて伝達トルクを増減させ、なめらかに繫ぐ工夫がされている。ヘビーデューティーなSUVでは、パートタイム式のトランスファーをベースとしていることもあり、緊急時の脱出性を確保するため、任意に直結(ロック)を選べるようになっている。

フルタイム式

画像:En 4wd001.png
フルタイム式4WD

パーマネント式(広義)、コンスタント式とも呼ばれる。常時全輪に適切にトルクを分配し、駆動する方式。前後輪の間に第三のデフ(センターデフ)を置き、旋回時や、前後輪のタイヤサイズの違いなどによる各輪の回転差を吸収する。

すべてのドライブシャフトにデフがあるため、一輪が空転を始めると、ほかの車輪にはトルクが一切伝わらなくなる。それを回避するために、少なくともセンターデフには差動制限機構が必要となる。

セレック・トラック

詳細はセレック・トラックを参照

AMC時代からのジープのトランスファーの商標のひとつで、フルタイム式のトランスファーでありながら、パートタイム(直結)4WDと、フロントへの動力を切る2WDが選べる。

トランスファーセレクターには2WD、パートタイム4WD・ハイレンジ、フルタイム4WD・ハイレンジ、ニュートラル、パートタイム4WD・ローレンジの5ポジションがある。2WDから4WDハイの各ポジションへのシフトは80km/h以下であれば、走行中も可能。

2WDのポジションは、フロントの駆動系を切り離して抵抗を減らし、燃費を向上させるために設けられた。オイルショック後のガソリン価格の高騰から、燃費を気にするユーザーの要請に答えるために採用され、長距離にわたって良路を走ることが多い北米の実情に合わせたもの。

ローレンジでフルタイム4WDが選べないのは、大減速で増加したトルクが一輪のみに集中し、ドライブシャフトや等速ジョイントを破断する事故を防止するため。

スーパーセレクト4WD

詳細はスーパーセレクト4WDを参照

三菱自動車の商標で、パジェロ等に採用されている。パートタイム式のギア・トランスファーと、フルタイム式のセンターデフの双方を搭載しており、パートタイム式だがフルタイム式としても使えるというもの。重量がかさむと言う欠点があるが、パジェロなどの本格クロスカントリー車では、元々トランスファーに副変速機を持つため、センターデフを持つことによるケースの大型化や、それに伴う重量増加は、走行性能上さほど大きな問題とはならない。

しかし、トランスファーだけで純粋に比較しても、20kg程度の重量増加になっている。さらに、前述のパジェロは後輪駆動ベース車であり、二輪駆動モードへのスムーズな切り替えのために電気的なフロントドライブシャフト駆動切り離し装置も標準搭載されており、旧型に比べてトータル40kg以上の重量増となっている。

電気式

詳細はe-4WDを参照

エレクトリック4WDなどと呼称される。エンジンによる駆動軸の他に、エンジンの回転を発電機で電気に変えてモーターでもう一方の車軸を駆動させる方式である。日本のパワーエレクトロニクス分野の発展により、発電機、モーターを搭載する重量増のデメリットが、プロペラシャフトによるそれと大差なくなったことによって、レイアウトの自由度、特にFFベースのクルマでもプロペラシャフトを意識することなく導入できるメリットの方が上回り、出現に至った。欠点として前後にトルクが均等配分されないことや発進した時だけしか動作しない等が上げられる。構造上基本的にATである。

動力分散型

画像:CA310010.JPG
ランサーエボリューションMiEV

駆動する1つ1つの車輪に動力源を取り付けたもの。一般的な自動車は特殊なものを除いて車1台に1機のエンジンを搭載するが、これは駆動輪1つ1つにそれぞれ独立した動力源を持つ。

ガソリンやディーゼルのような内燃機関全盛だった20世紀においては主流にはなりえなかったが、それでも歴史は古く、フェルディナント・ポルシェによって試作されたモーター駆動の車両が1900年のパリ万博に出品されている。

出力がほぼそのままタイヤの駆動力となることからエネルギー損失が少なく、4輪の動力配分を自由に決められる反面、既存のディーゼルエンジンガソリンエンジンの場合、小型化に限界があり、また部品点数が多くなる、排気処理が面倒、スロットル動作の同調に高度な制御が必要なことから、実験的に作られた車両程度しか存在しなかった。

しかし電気自動車の場合は排気がなく、電気は配線を延長すればいいだけなので、ロスが少ない、室内が広く取れる等の理由から有利である。そのために三菱自動車ランサーエボリューションMiEVや、「四輪」駆動ではなく「全輪」駆動だがエリーカではこの方式を採用している。

目的による分類

四輪駆動とする目的としては大きく分けて、スタックの発生しやすい雪道や泥濘地などの悪路を走破するためと、ハイパワーエンジンの強大なトルクを余すことなく利用することの2つがある。一般的用の乗用車や商用車、軍用車、土木・建築用機械などに用いられる場合は前者であることが多く、よりスポーツ性能を重視した車種に搭載される場合は、後者であることが多い。

またスポーツ型の四輪駆動車でもさらに大きく2つに分類される。

1つは、サーキットのような舗装道での最高速と高速域での安定性を求めたタイプである。全てのタイヤを駆動させる事で、タイヤ1本あたりにかかる力に余裕が出来るために、全体での限界性能が上がると言うものである。そのために時速200kmや300kmと言った高速域でも二輪駆動より安定しているが、悪路走行性能は生活四駆程度、GT-Rなど一部はそれ以下である車が多い。スカイラインGT-Rランボルギーニ・ムルシエラゴなどはこの発想である。 前述の「SPYKER」はこのスポーツ性能を重視したタイプの最初の自動車の一つである。

もう1つは、世界ラリー選手権パリ・ダカール・ラリーなどラリーへの参戦などを考え、林道や雪道、さらには砂漠と言った、オフロードの過酷な状況下での走行性能を高めたタイプである。高速走行性能こそ上記の最高速タイプほどではないが(それでも生活四駆に比べたら格段に高い)、悪路走行性能はずっと優れている。1981年のWRCで登場したアウディ・クアトロが400馬力を超える強大なパワーを伝達するための手段として4WDを採用し成功したのを受け、その後のラリーカーのほとんどがハイパワーエンジンと4WDの組合せとなった。三菱・ランサーエボリューションや同社のパジェロエボリューション(これはラリーよりも、さらに過酷なクロスカントリータイプ)、スバル・インプレッサなどは代表的な車である。ただしラリーカーの場合、路面の環境に対応するという目的も含まれるため、前者の意義も同時に持っている。

エンジン搭載位置

大半がフロントエンジンだが、リアエンジン4WDポルシェ 911スバル・サンバー、シュタイア・プフ社のハフリンガーなどに存在する。最近では三菱・iの4WDモデルがリアエンジンを採用している(ただしiは基本的にRRベース)。またミッドシップ4WDトヨタ・エスティマ(初代のみ)、ホンダ・アクティ/バモスランボルギーニ・ディアブロなどに設定してある。

代表的な四輪駆動車

クロスカントリー・SUV型

スポーツ型

実用型

生活四駆などと呼ばれる。

  • 軽トラックには通常、四輪駆動仕様が設定されており、この場合は田畑のあぜ道等、未舗装道路の走破性を追求したものである。
  • 普通のセダンや小型車、軽乗用車等では、積雪地向け需要が多い。

関連項目

ウィキペディアでの『4輪駆動』の改訂履歴
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