| この項目は、記事の一部を「Fast Ethernet」、「Gigabit Ethernet」、「10Gigabit Ethernet」に分割することが提案されています。 議論はノート:イーサネットを参照してください。なお、分割作業を行う際には履歴不継承にならないように注意してください。 |
イーサネット(Ethernet) はコンピュータネットワークの規格のひとつで、世界中のオフィスや家庭で一般的に使用されているLAN(ラン、ローカルエリア・ネットワーク)で最も使用されている技術規格である。
現代のLAN(Local Area Network)では、主に物理的な規格である「イーサネット」と、通信内容の取り決めを決めた「TCP/IPプロトコル」の組合せが一般的である。
目次 |
イーサネット規格は技術の進歩に合わせて毎年のように新たな規格が登場している。初期の同軸ケーブルによるLANから発展を続け、今日では世界中のLANの多くがイーサネット規格を採用し、より広い範囲のネットワークであるMANやWANでも一部の技術は「広域イーサネット」という名称でイーサネット規格を取り込み始めている。
イーサネット規格の基本仕様は、7層あるOSI基本参照モデルの下位二つの層、物理層、データリンク層相当で規定されている。
[1]本項目の後半部で示すように、物理層は伝送速度の違いや物理的な仕様により多種の規格に分かれるが、データリンク層は、世代交代を重ねて来た新旧の規格同士の間にも互換性があり、新旧装置の混在環境でも部分的に低速なネットワークとして機能する。通信速度は、初期の10Mbps(ビット毎秒)の10BASE-Tから、その10倍の100Mbpsの伝送能力がある100BASE-TXが普及し、今日では1Gbpsの1000BASE-Tが普及しつつある。また、新たな規格として10GBASE-T(UTPによる10ギガビット・イーサネット《10GbE》)規格が決定された。さらなる高速規格として40ギガビット・イーサネット(40GbE)や100ギガビット・イーサネット(100GbE)などが国際的な通信規格について話し合う組織であるIEEEにおいて調整段階にある。
名称の「イーサ、ether」は、古典物理の時代に宇宙の隅々まで満たしているのではないかと考えられた仮想の物質、「エーテル」(Ether、Aether)から付けられた。
イーサネットの発想の原点はハワイ大学のノーマン・エブラムソン教授が開発した「ALOHAシステム」と言われている。ハワイ諸島の島々を4,800ビット/秒の無線によるネットワークで結ぶシステムであった。[1]
ALOHAシステムのアイデアに基づいて最初のイーサネットは1972年~1973年にかけて、米ゼロックスのパロアルト研究所(PARC)において、ロバート・メトカーフを中心に開発された。1973年5月22日、特許として登録したため、この日がイーサネットの誕生日とされる。発明当初の伝送速度は2.94Mbpsで、これは当時開発中のコンピュータ XeroxのAltoのベース・クロック5.88MHzに合わせた為だとされている。ゼロックス社はその後、特許を開放してオープンな規格とし、インテルとDECを開発に加えて、1979年、3社の頭文字をとってDIX仕様を制定する。伝送速度は10Mbpsだった。翌年の1980年には、この仕様をIEEE 802委員会に「Ethernet 1.0規格」として提出・公開した。このオープン規格に対して世界中の企業・技術者が技術の使用と製品の開発に加わり、さまざまな商品が生み出されていった。メトカーフ氏自身もゼロックス社を退社して米3Com社を創設しこのネットワーク製品開発競争を主導していった。1980年代当時は、米IBM社が「トークンリング」を、米アップルコンピュータ社がAppleTalkという「ローカルトーク」をそれぞれネットワーク製品として強力に推進していたが、結局、規格を公開して多くの賛同者を得たイーサネットが勝ち残った。[2]
現在、普及しているイーサネットは、1982年に提案された「Ethernet 2.0規格」を元に、1983年にIEEE 802.3 CSMA/CDとして策定された仕様である。
イーサネット初期の10BASE2/5/-Tの時代は、OS側でのネットワーク・サポートは限定的であり、PCではNovel社のNetwareやIBM社のLan Managerといった専用ソフトを購入しないとファイル共有といった基本的な機能すら得られなかった。
1980年代のPCではネットワーク・インターフェース・カード(NIC)やイーサネット・カードと呼ばれるマザーボードに差し込むISA/EISA/NESA形式のドーターカードがオプションで販売されていることが多かったが、1990年代初めにはPCI形式でのカードがPCに標準的に備わり、1990年代後半にはCPUの専用周辺回路であるブリッジ・チップに最初から回路の一部が含まれるのが普通になったため、マザーボード上にイーサネットのジャックであるRJ-45が備わっていた。この頃にはイーサネットによるLAN機能の実装が当たり前になるとともに、イーサネットという用語そのものを使うことがまれになった。2007年現在では、マザーボードによっては2つのネットワーク・ポートを持つものも珍しくない。
イーサネットは、OSI参照モデルにおける物理層およびデータリンク層を規定するものであり、IEEEによりIEEE 802.3およびその拡張版として仕様が公開されている。[3] 歴史に述べるように、1970年に原型が開発され、1980年にIEEEに提出・公開され、1983年にIEEE 802.3として規定されたイーサネットは、50Ω同軸一芯ケーブルを利用し、バス型のトポロジーを持ったネットワークであり、半二重通信で10Mbpsを達成したものである。追って、10BASE2のThin Ethernetケーブル、10BROAD36の75Ω同軸ケーブル、FOIRLでマルチモード光ケーブルが使われるようになり、さらに1BASE5、追って10BASE-TでUTPケーブルが使われるようになり、物理的構成でもスター型構成がとられるようになった。その一方でデータリンク層は、後述するジャンボフレームやVLANによる拡張はあるものの、基本的には信号的な互換性があり、メディアコンバータ等を用いて各規格をつなぎあわせることで、相互にフレームをやりとりすることができる。
イーサネットでは、信号を伝送するにあたり変調が行われる。ベースバンド変調を行うものは名称にBASEを、ブロードバンド変調を行うものは名称にBROADをつける決まりとなっている。
ベースバンド変調では、10BASExではマンチェスターコードが用いられた。マンチェスターコードは、各ビットを示す信号の中央で常に Lo<math>\to</math>Hi や Hi<math>\to</math>Lo に信号レベルが変化することで伝送の基準となるクロック信号をデータ信号に重ねて送ることができた。他に、100BASE-TXでは8B-6T、1000BASE-Tでは8B/1Q4(4D-PAM5)など、それぞれ適した変調が用いられる。
初期のイーサネットは論理的、物理的ともににバス型構成であり、複数の端末が1本の同軸ケーブルに接続されていた。多数の端末が繋がっている場合には、任意の端末AとBとの「1対1」の排他的な通信は不可能であり、端末Aから送出されたデータは、同じイーサネットの配線に繋がっている全端末へ届けられる「1対全」の通信方式である。「1対全」の通信である為、既に端末AとBが通信している時に端末Cが新たに送信したい場合は、伝送路の空きを待つ必要がある。複数の端末が接続されているときに、ほぼ同時に送信が行われた場合、衝突することがあり、その場合データが損失する。これを衝突(コリジョン)と呼び、その対策が後に述べるCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)である。CSMA/CDは、ギガビットイーサネット(IEEE 802.3ab等)までサポートされている。
イーサネットでは元の送信すべき通信データをまず一定の長さ以下に分割して、決められた形式による情報のかたまりを作り上げる。この情報のかたまりをMACフレーム(Media Access Control Frame)、または単にフレームと呼ぶ。イーサネットでは常にMACフレームの形で情報が伝送路を流れている。元の情報が分割されているために、ネットワーク機器は一定の長さ以下の情報を扱うだけで済むため、情報転送に関わるあらゆる処理が非常に単純な作業の繰り返しで済む。
イーサネットの物理的構成は、PCやルータ等のネットワーク機器(ノード)およびケーブルで組み立てられる。イーサネットは論理的にバス型構成であるため、一つの論理的バスの固まりをコリジョン・セグメント(または単にセグメント、コリジョンドメイン等)と呼ぶ。コリジョンセグメント内のノードは各々電気的に等価であり、すべてのフレームが全ノードのネットワークインターフェイスに受け取られる。各ノードのネットワークインターフェイスはMACアドレスを持ち、自分宛でないフレームは廃棄する。また、スイッチングハブ等、レイヤー2以上のネットワークをサポートする機器を利用した場合全二重通信を行うことができる。
イーサネットを特徴づけるものがCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection; キャリア検知多重アクセス/コリジョン検出)であり、通信経路上での信号の発送手段を規定している。物理的に類似した他方式、トークンリングの場合は、経路上のノード間でトークンと呼ばれる特殊なパケットを回し、受け取ったノードのみがフレームを送信することができるが、イーサネットでは、各ノードは自由に信号を発信することができる。その一方で信号の衝突が発生するため、通信系路上を常に監視し(キャリア・センス)、衝突が検出(コリジョン・デテクション)された場合は、若干の時間待機した後、フレームを再送する。待機時間はTBEBアルゴリズムで決定する。 短所として、たとえ混雑して送信待ちの端末が多数あっても常に通信路に空きが生じるため帯域に無駄が生じる。また、他の通信方式でも同様だが、規格で表わされている伝送速度は通信路に流せる全ての情報に対する通信容量であり、フレームの頭に付くヘッダーやプリアンブル、フレーム間ギャップも通信容量を消費するため、ユーザーデータの伝送速度は常に規格の速度をある程度下回る。TCPやIPを使用すればその分のヘッダなどがさらに通信容量を消費する。
イーサネット規格のレイヤー2、つまりデータリンク層では、送信するMACフレームの作成や受け取ったMACフレームの解釈に関する作業を規定している。
送信の場合を考える。ネットワーク端末であるイーサネット通信装置はホストであるコンピュータからの情報を通信路に送出するためには、まず受け取った元データが長ければいくつかのかたまりに分割する。 このデータのかたまりは46~1500バイトの大きさである。これに以下の付加情報を加えてMACフレームを完成させる。
あて先MACアドレスの前にプリアンブルの8バイトがあるが、これは96ビット時間以上のフレーム間ギャップと同様にレイヤー1層「物理層」で自動的に挿入されるためにレイヤー2層「データリンク層」であるMACフレームの規格には含めない。
DIX規格でのプリアンブルの8バイトは実際は10101010で構成された7バイト分のプリアンブルと1バイト分のスタート・フレーム・デリミター(Start frame delimiter、SFD)で構成されている。
あて先MACアドレスと送信元MACアドレスの6バイトは全く同一の構成をとり、最初の2ビットで通信種別を表わし、マルチキャスト、ブロードキャスト、ユニキャストなどを指定する。続く22ビットでMACアドレスを使用するネットワーク機器のベンダーがIEEEから購入したベンダー固有の番号が入る。最後の24ビットでベンダーが自由に割り振る番号が入リ通常は通し番号が使われる。MACアドレスは全世界でただ一つのユニークな番号である。
IEEE 802.1q規格でオプションのVLAN使用時には「長さ/タイプ」の前に4バイトが付加され、フレーム全体も4バイト分長くなる。このVLANという仮想LANのための4バイトが付加された場合は、最長フレーム長が1518バイトから1522バイトへと変わるがネットワーク装置は正しく処理を行なう必要がある。初期のネットワーク装置には1518バイトを超えるフレームを正しく処理できないものがあったが、最近のネットワーク装置はほとんど1522バイトまでのフレームを正しく処理できる。
DIX規格でのタイプとIEEE 802.3規格での長さ/タイプは混在していてもかまわない。この2バイト分のフィールドの値が46から1500であればそれはIEEE 802.3規格での長さを表わしており、1501以上であればそれはDIX規格でのタイプを表わしている。
FCSによって、あて先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、データの4つの領域の情報が正しいかを判定する。判定のためのエラー検出方法はCRC(Cyclic redundancy check)法を使う。
フレームの終了を示す信号は存在せず、最後のFCSの信号が途絶えた時点で受信側はフレームの終了を判断する。荒っぽい方法であるが、このことによってデータやFCSには完全に自由な2進情報を含めることが可能となり、フレームの簡素化やネットワーク装置の処理の単純化が得られている。
レイヤー2の情報は「行き先MACアドレス」が要求すればLAN上のスイッチング・ハブによってセグメントを越えて伝送される。つまりレイヤー1だけではセグメントの境界にスイッチング・ハブが位置しており、送出された信号はセグメントを越えることは無いが、スイッチング・ハブの内部では一度レイヤー2まで階層を登って解釈され行き先MACアドレスを読み取って、隣のセグメントやその先のセグメントであれば、別のセグメントへと転送されるため、セグメントを越えることが出来る。このため、スイッチング・ハブの内部ではそれぞれ接続されたセグメントごとに所属する端末のMACアドレスを一覧リストとして保持しており、MACフレームを受信するたびに高速で比較して転送先を決定している。 こういったレイヤー2スイッチング・ハブの動作は全ての速度・形式のイーサネット規格で同一である。
同軸、ツイストペア、光ファイバー)などの通信路の違いや、10M/100M/1G/10Gbps等の伝送速度の違いにより多種の規格が規定されている。イーサネットの規格名の大体の付け方を以下に示す。
<math> \left( \begin{align}&10\\&100\\&1000\\&10\mathrm{G}\end{align} \right) </math> <math> \left( \begin{align}&\mathrm{BASE}\\&\mathrm{BROAD}\end{align} \right) </math> <math> \left( \begin{align}&2\\&5\\&\mathrm{-T}\\&\mathrm{-TX}\\&\mathrm{-FX}\\&\mathrm{etc}\end{align} \right) </math>
「10BASE-T」では「10」は10Mbpsの転送速度、「BASE」は変調を行わないベースバンド転送を、「T」は通信路にアンシールデット・ツイステッド・ペア・ケーブル(Twisted pair cable)を使用する事を意味している。もちろん上記の全ての組み合わせがあるわけではない。
イーサネットを構成するための機器およびケーブルについて説明する。
イーサネットの物理層に対して給電を行い、信号を中継し、MACフレームを構成し、CSMA/CDに従ってフレームを送受信する。ここでは、イーサネットが規定する物理層、データリンク層をサポートする機器について解説する。
詳細はハブ (ネットワーク機器)を参照のこと。
ハブは、スター型構成の中心になる機器であり、複数の端末を接続し、リピータとして信号の中継、再生を行う。OSI参照モデルの第1層(物理層)での信号の伝送を行う装置。
スイッチングハブはレイヤー2スイッチとも呼ばれ、はその名前の通り、OSI参照モデルの第2層「データリンク層」での情報転送を行なう装置であり、インターネットのMACフレームをMACアドレスによって転送先を決める。「レイヤー2スイッチ」(L2スイッチ)は「LANスイッチ」や「スイッチング・ハブ」とも呼ばれる最も代表的なイーサネットのネットワーク機器である。もともとイーサネットの登場初期にリピーター・ハブと呼ばれる伝送路の中継アンプがあり、その機能を大幅に発展させたものがスイッチング・ハブつまりレイヤー2スイッチである。
10BASE2, 10BASE5はともに50Ωの同軸ケーブルを使用する。10BASE5では直径12mmの、通称Thickケーブル(またはイエローケーブル)を使用する。また10BASE2では10BASE5のケーブルの約半分、直径5mmの、通称Thinケーブルを使用する。
光ファイバー参照。10BASE-F, 100BASE-FX, 1000BASE-SX/LX等で使用する。一般にマルチモードファイバー(MMF)とシングルモードファイバー(SMF)を使用する。一般にMMFは芯線が太く、曲げに強く扱いやすいが、通信距離が短く速度が遅い。屋内配線等に向く。SMFは芯線が細く、曲げに弱く高価であるが伝送損失が小さく、遠距離通信に向く。
イーサネットに使用するケーブルの内、最も多く使用されているのはツイステッド・ペア・ケーブル(Twisted Pair Cable)である。詳しくはツイストペアケーブルを参照。
以下にカテゴリー数と適用転送速度規格を示す。STPはシールドやその他の工夫によって高い周波数特性を持っている。
カテゴリー6以下のUTPでは、上位互換性があり周波数特性に優れたグレードの高いケーブルを下位の伝送速度での接続に使用しても問題がない。販売されているケーブルにはカテゴリー数の略称が「Cat5」や「Cat5-e」などと表示されている。
厳密には、「イーサネット」は10BASE5(IEEE 802.3)のことを指した。また、それに対して安価にネットワークを構成できる10BASE2(IEEE 802.3a)が作られ、CheapernetやThin Ethernetと呼ばれた(そこから10BASE5を"Thick Ethernet"と呼ぶこともある)。追って1BASE5のスター型トポロジーを取り込む形で10BASE-T(IEEE 802.3i)が作られ、さらに光ケーブルを使う10BASE-F(IEEE 802.3j)が使われるようになった。なお、IEEE 802.3は拡張規格を統合する改訂がおこなわれており、IEEE 802.3a, IEEE 802.3iなどはすでにIEEE 802.3に含まれている。 また、双方向ケーブルテレビのインフラを利用して信号を伝送する10BROAD36がある。
10BASE5は、ケーブルが太い為引き回しに難点があったり、分岐装置の取り付けが面倒という問題点があった。その為、同軸ケーブルだが細いもの(直径5mm)を、線の両端にコネクタを取り付けて、簡単に接続可能にするようにしたのが10BASE2(テンベースツー)のイーサネットである。IEEE 802.3aとして標準化。
最長セグメント長は185mで、4台のリピーターを介して最大5セグメント:925mまでの延長ができる。
コネクタを使った接続によって取り扱いが容易になったが、端末を接続するための分岐を作るには一旦線の途中のコネクタを切り離してT型の分岐コネクタを取り付けなければならなかったため保守性に欠けた。ネットワーク構成を変える度にネットワークが寸断されるので作業を行なうタイミングに制約があった。ケーブル末端には反射を抑えるターミネーターと呼ばれる終端抵抗を取り付ける必要があった。
10BASE2と10BASE5は線の損失が違うだけで、電気的特性(インピーダンス50Ω、電圧±1、等)は同じであるため、10BASE2に10BASE5のケーブルを足しても一応通信が出来た。ただ継ぎ足す部分でのインピーダンスの違いによって生じる反射のために通信が不安定になることがあった。
10BASE5(テンベースファイブ)は直径0.375インチ=約9.5mmでインピーダンスが50Ωの太くて硬い同軸ケーブルを利用したイーサネットである。IEEE 802.3として標準化。この同軸ケーブルに、タップという分岐装置を取り付ける事により、各装置との間で通信を行なう。タップは、同軸ケーブルの心線に針を刺すような形で接続を行なう。この線を噛み込む様子からヴァンパイヤと俗称されていた。
多くの場合、タップとコンピュータとの間にはAUI(Attachment Unit Interface)と呼ばれる信号変換装置が設置された。
末尾の数字の示す通り最長セグメント長が500mと比較的長く取れることと、線の耐久性が高いことから、10BASE2や10BASE-T普及後もLANの基幹線として使用されていた。
初期には多くの同軸ケーブルが黄色だった為、イエローケーブルと言われていた。実際には赤や青、緑など様々な色のケーブルも販売されていた。
10BASE-T(テンベースティー)の物理層は、カテゴリ3以上のアンシールデット・ツイステッド・ペア・ケーブルを用いて、各末端機器とハブとを配線するものである。 各機器はハブとの間だけで結線が済む為、各機器の接続を個別に変更する事が可能である。ハブは、レイヤー1で分岐するダム・ハブまたはカスケードハブ、レイヤー2で分岐するスイッチングハブが存在する。カスケードハブを用いた結線では半二重通信を、スイッチングハブを用いた結線では全二重通信をサポートする。10BASE5と比較して細いツイストペアケーブルを使用する為取り回しし易く、拡張性が高かったため急速に普及した。またそれに従って機器価格も低下し、さらに普及の速度が高くなった。IEEE 802.3iとして標準化された。
10BASE-Tで使われるケーブルはツイストペアケーブル(カテゴリ3以上)の2組の両端にRJ-45コネクタを付けた物である。RJ-45コネクタには8つのピンがあるが、10BASE-Tではこの内2対4線しか使用していない。1と2を送信データとして、3と6を受信データとして用いる。ストレートケーブルでは同じ端子を接続し、クロスケーブルでは1と3、2と6を接続する。
信号は2本のピンの電位差が-1Vから+1Vに変わる事で0を表わし、+1Vから-1Vになることで1を表わす。このような方式を「マンチェスタコード」と呼ぶ。
TIA-568B規格では、送信データはオレンジの組を、受信データは緑の組を使用する。ストレートケーブルの中にはISDN等への転用が可能なように、この他に4~5番を青の組で、7~8番を茶色の組で繋いだ製品や、8色の単色線を2本ずつ束ねたものも存在する。尚、全ての線を使用しているか否かに関わらず、カテゴリ5以上のケーブルに正しくコネクタが結線されていれば、100BASE-TXでも使用可能である。
メタルケーブルではなく、マルチモード光ケーブルと850nmのレーザー光を使用する規格である。10BASE-FP, 10BASE-FB, 10BASE-FLの3種類が存在する。IEEE 802.3jで標準化された。
パッシブ型光カップラを中心にスター型構成をとる。カップラー・ノード間距離は500m、ノード間は1000mとなる。
バックボーン向けに、アクティブ型光カップラ間で接続される。直接ノードに接続されることはない。カップラー間は最長2000m。
FOMAU(Fiber Optic MAU)とリピータを用い、端末間の接続を可能としている。FOIRLを置換するための規格であり、互換性がある。ノード間距離は最長2000m。
双方向CATVを伝送路として使用するイーサネットである。他のイーサネットとは異なりRF信号に変調している。IEEE 802.3bとして標準化。
最長セグメント長は3600mとなっている。ケーブルはテレビ信号を伝送するのに用いられる75Ω同軸ケーブルを使用する。太さはCATVのシステム設計により決まる。
物理的にはツリー状の配線となり配線の自由度が高いため各機器の接続・切断が容易である。電気信号としては機器間で直接受け渡しするのではなく、CATVの上流端へ全て送られそこに設置した機器により中継される。周波数を違えることにより複数のセグメントをケーブル上に作ることができる。ベースバンド信号での制御は10BASE5と同じバス状の動作である。
構成するシステム・装置の複雑さから普及しなかった。
100Mbpsの転送速度のイーサネット。ツイストペアケーブルを使用する場合、セグメント長は100m、光ケーブルを使用する場合セグメント長は412mで、ハブ段数は2段までとなっている。主に100BASE-TXが使用されている。
習慣的に、10BASEは「てんべーす~」と読むのに対して100BASEは「ひゃくべーす~」発音する。
100BASE-T2(ひゃくべーすティーツー)は伝送路としてカテゴリ3のUTPケーブル内の2対4線を使用する。IEEE 802.3yとして標準化。
100BASE-T4(ひゃくべーすティーフォー)は伝送路としてカテゴリ3のUTPケーブル内の4対8線を使用する。IEEE 802.3uとして標準化。
100BASE-TX(ひゃくべーすティーエックス)は伝送路としてカテゴリ5以上のUTPケーブル内の2対4線を使用する。IEEE 802.3uとして標準化。現在、最も普及。
なお、T2/T4/TXの総称として100BASE-Tと言う事がある。
100BASE-VG(ひゃくべーすブイジー)はCSMA/CD方式のイーサネットを100Mbps化したもではなくトークンリングを100Mbps化したものであるため、技術的には他のイーサネットとは全く異なっている。 従来のトークンリングとの最大の相違点は、イーサネットで言う所のHUBに相当する装置内でリングが形成されており、装置から端末までは1本のUTPケーブルを接続すれば良く、どこか一カ所が切れればネットワークが分断されると言うトークンリングの弱点を克服している。 また、トークンリング特有のネットワークのスループットの高さと言う特徴を引き継いでいるが、従来の10BASE-Tからの製品ラインを持つメーカーが、新旧混在環境でも動作する100BASE-TXのスイッチング・ハブを安価に生産・供給したため、VGは価格的にも導入の手間でも不利となって市場には受け入れられなかった。
100BASE-VG AnyLAN(ひゃくべーすブイジーエニイラン)は、前述の100BASE-VGカードと10BASE-Tが同じアダプタに統合されたもの。VG用と10BASE-T用の口をそれぞれ持つのが特徴。 100BASE-TX同様アダプタのみ安価に提供し、10BASE-Tのネットワークとして運用し、時が来れば線を繋ぎ変えて100BASE-VGで運用すると言う戦略であったが、前述の通り狙い通りには行かなかった。
100BASE-FX(ひゃくべーすエフエックス)は光ケーブルを伝送路として上り、下りの2本使用する。波長として 1300nm を使うものと 850nm を使うものがある。IEEE 802.3uとして標準化。
1ギガ・ビット/秒の仕様のイーサネットを言う。「GbE」と表記される事もある。 2007年の現在では1000BASE-Tが最も普及している。イーサネット規格として半二重通信とCSMA/CDをサポートした最後の規格である。実際にはほぼ全二重通信で行われている。
ギガビット・イーサネットはIEEE 802.3zで規定される1000BASE-SX、1000BASE-LX、1000BASE-CXとIEEE 802.3abで規定されるUTPケーブルを使う1000BASE-Tの4つに分かれる。1000BASE-CXは特殊な同軸ケーブルを使うため実際にはほとんど使用されていないので3つと考えて良い。1000BASE-SXと1000BASE-LXは光ファイバを使い伝送距離が5kmまで伸ばせるので、企業の基幹的なバックボーンLAN回線に使用される場合が多い。
1Gbpsのイーサネットでは元のデータが短い場合は「キャリア・エクステンション」と呼ぶダミーのデーター(1~448バイト)を付けることで、512バイト=4096ビットまで長くして100Mbpsと同じリピータ・ハブまでのケーブル長最大100m、ハブの両方向のケーブル長を合わせて200mのセグメント・サイズを実現している。
通信速度、伝送効率向上などのためのオプション。
1000BASE-T(せんべーすティー)は伝送速度1Gbpsを実現する規格。現在「GbE」としては最も普及している。IEEE 802.3abとして標準化。
伝送路としてカテゴリ5(CAT5)以上のUTPケーブル内の4対8線のより対線を使用し、各ペアに250Mbpsの伝送速度を持たせる事で1Gbpsを実現する。片方向の伝送に4対すべてを使っているが、ハイブリッド回路を使用してエーコーをキャンセルすることで4対すべてで同時に送受信が可能であるため全二重通信である。
電圧レベルを5値に分割し、1クロックで2ビットの情報を送るパルス振幅変調(PAM5)を使用することで周波数を低く抑えている。
1000BASE-Tでは8B1Q4で符号化されている。8B1Q4の符号化とは元データの8ビットごとをエラー検出ビットを付加して9ビットに直す「9ビット化」を行い、さらに9ビットのデータ(0~511)を4対のより対線にそれぞれ「+1.0V、+0.5V、0V、-0.5V、-1.0V」の5つの電圧の組み合わせ(54=625)に割り振る「4次元5値シンボル化」によって伝送路に送出する。この符号化によって最終的な信号は約80MHzの周波数帯域に収まり、比較的低価格なUTPケーブルでもなんとか支障なく使用できる。符号化処理によって毎秒1Gbitのデータを8ビットごとに送り出しているために、「シンボル・レート」は125MHzとなる。符号化によって1000BASE-Tのように伝送に必要な周波数を下げられる場合もあるが、他にも同じ電圧が続くことで受信タイミングが判別できなくなるのを防いだり、エラー検出などに利用するという目的で行なわれる。
1000BASE-Tではイーサネット機器同士の自動認識(オート・ネゴシエーション)が義務となっており、 結線時にファスト・リンク・パルス(FLP)と呼ぶ自動認識用信号を送り出してお互いの通信速度や全2重/半2重を教えあい、相手が10BASE-Tや100BASE-TXではノーマル・リンク・パルスとアイドル信号というそれぞれの固有信号形式によって判別して通信設定を行なうことで下位互換性を実現している。1000BASE-T同士の場合はこのFLPをクロック・タイミングの同期の主従決定に利用している。
「キャリア・エクステンション」によってCSMA/CDを実現できても、余分なデータを送信するのは無駄であるため、1000BASE-Tでは「フレーム・バースト」と呼ばれるオプションを備えている。フレーム・バーストは、短いフレームを多く送信する場合に、合わせて最大8192バイトまでのフレームの連続送信を許して、2つ目からはキャリア・エクステンションを付けずに送信できる。このオプションを利用したフレームが送信中は、他のフレームが割り込めないというデメリットもある。
最長セグメント長は100m。
100BASE-TXとは既設のケーブル(CAT5)等の互換性が高いため一般にも普及しているが、実際にはより改良された仕様であるカテゴリ5e(CAT5E、エンハンスト・カテゴリ5)以上の使用が推奨される。ただし1000BASE-TX用(CAT6)のクロスケーブルは配線が異なるので使用できない。ストレート・クロス自動判別機能(MDI/MDI-X両対応)が規格で標準とされているため、ストレートケーブルでクロス配線が可能である。
1000BASE-TX(せんべーすティーエックス)は、伝送路としてカテゴリ6(CAT6)のUTPケーブル内の4対8線を使用し、上り専用に2対、下り専用に2対、それぞれ500Mbpsの帯域を持たせる事で1Gbpsを実現する規格。全二重通信が可能。TIA/EIA-854として標準化。
1000BASE-Tと混同されやすいが、前述の通り1000BASE-Tとの信号的な互換性はない。前述のPAM5を使用するのは同様である。
1000BASE-Tで使用されるエンハンスドカテゴリ5(CAT5E)のケーブルとは異なり、4つのペア線を分けるためケーブル内に十字介在物が入っている。ケーブル(CAT6)は1000BASE-T、100BASE-TX等でも使用可能である(但し、クロスケーブルは互換性がない)。CAT5EのUTPケーブルとCAT6のUTPケーブルの価格差が極めて小さくなりつつあり、価格の逆転は時間の問題となっている。この為、急速な勢いでCAT6のUTPケーブルが普及し始め、安価な市販コードも販売されている。また、同ケーブルを使用した10GBase-Tが規格として検討されている。
しかし、1000BASE-T機器の価格低下と普及により、1000BASE-TX自体は価格面での優位を失っている。
セグメント長は100m。
1000BASE-CX(せんべーすシーエックス)は伝送路としてSTPケーブル内の2対4線使用する規格。
セグメント長が25mと非常に短かった為、あまり普及しなかった。
1000BASE-SX(せんべーすエスエックス)は短波長レーザーを意味し、伝送路として光ケーブルを2芯使用する。波長は 850nm が使われる。光ケーブルはマルチモードケーブルを使用する。IEEE 802.3zとして標準化。符号化は8B/10Bを使用。8B/10Bは8ビットの元データをあらかじめ決めてある10ビットに拡張する符号化である。
セグメント長は316m。
1000BASE-LX(せんべーすエルエックス)は長波長レーザーを意味し、伝送路として光ケーブルを2芯使用する。波長は 1350nm が使われる。光ケーブルはマルチモードケーブル(伝送距離500m前後)、シングルモードケーブル(伝送距離5~10km前後)を使用する。IEEE 802.3zとして標準化。符号化は8B/10Bを使用。
セグメント長は3000m。
1000BASE-LH(せんべーすエルエッチ)は伝送路として光ケーブルを2芯使用する。基本的に1000BASE-LXのレーザー出力を高めたもの。光ケーブルはシングルモードケーブルを使用する。伝送距離10~50km。
セグメント長は70km。
1000BASE-ZX(せんべーすゼットエックス)は1000BASE-LXよりもさらに長い波長(1550nm)のレーザを使用する。伝送路として光ケーブルを2芯使用する。光ケーブルはシングルモードケーブルを使用する。伝送距離50~80km。
PDS(Passive Double Star)型トポロジー(PON:Passive Optical Network)の光ケーブルのネットワーク。GE-PON(Gigabit Ethernet PON)、EFM(Ethernet in the First Mile)とも呼ばれる。IEEE 802.3ahとして標準化。FTTHに使われる。
上りと下りで異なる波長を使用することで、1芯の光ケーブルによる両方向伝送を実現している。IEEE 802.3ahで標準化され、伝送距離10km。規格を拡張し、伝送距離を40kmにした1000BASE-BX40機器も存在する。
詳細は10ギガビット・イーサネットを参照
10ギガ・ビット/秒の転送速度のイーサネット。転送速度が非常に高く、ツイステッド・ペア・ケーブルでは必要な周波数特性が十分に確保できないため、光ケーブルの使用が多い。データの送信が終了する前に衝突を検出できない為、半二重通信とCSMA/CDをサポートせずに全二重通信だけを使用する。
分類
伝送距離による分類
普通は伝送速度と伝送距離を組み合わせて10GBASE-LRのように呼ぶ。現在標準化されている規格は次の通りである。
その他
| 規格名 | 別名 | 通信速度 | 標準化規格 | 使用ケーブル | 距離 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1BASE5 | 1Mbps | IEEE 802.3e | UTP(2対) | 250m | ||
| 10BASE2 | Thin Ethernet | 10Mbps | IEEE 802.3a | 50Ω同軸(5mm) | 185m | |
| 10BASE5 | Thick Ethernet | IEEE 802.3 | 50Ω同軸(12mm) | 500m | ||
| 10BASE-T | IEEE 802.3i | UTP/STP(Cat3) | 100m | |||
| 10BROAD36 | IEEE 802.3b | 75Ω同軸 | 3600m | |||
| 10BASE-F | 10BASE-FB | IEEE 802.3j | 光マルチモード | 2000m | ||
| 10BASE-FP | 光マルチモード | 1000m | ||||
| 10BASE-FL | 光マルチモード | 2000m | ||||
| 100BASE-T | 100BASE-TX | Fast Ethernet | 100Mbps | IEEE 802.3u | UTP(Cat5) | 100m |
| 100BASE-T4 | UTP(4対Cat3) | 100m | ||||
| 100BASE-T2 | IEEE 802.3y | UTP (2対Cat3) | 100m | |||
| 100BASE-F | 100BASE-FX | IEEE 802.3u | 光マルチモード/シングルモード | 2000m/20km | ||
| 1000BASE-T | 1000BASE-T | Gigabit Ethernet | 1000Mbps | IEEE 802.3ab | UTP(4対Cat5e) | 100m |
| 1000BASE-TX | TIA-EIA/-854 | UTP(4対Cat6) | 100m | |||
| 1000BASE-X | 1000BASE-SX | IEEE 802.3z | 光マルチモード | 550m | ||
| 1000BASE-LX | 光マルチモード/シングルモード | 550m/5000m | ||||
| 1000BASE-CX | 同軸ケーブル(2芯並行) | 25m | ||||
| 10GBASE-T | 10Gbps | IEEE 802.3an | UTP(4対Cat6) | 100m | ||
| 10GBASE-R | 10GBASE-SR | IEEE 802.3ae | 光マルチモード | 300m | ||
| 10GBASE-LR | 光シングルモード | 10000m | ||||
| 10GBASE-ER | 光シングルモード | 40000m | ||||
| 10GBASE-W | 10GBASE-SW | 光マルチモード | 300m | |||
| 10GBASE-LW | 光シングルモード | 10000m | ||||
| 10GBASE-EW | 光シングルモード | 40000m | ||||
| 10GBASE-X | 10GBASE-LX4 | 光シングルモード | 10000m | |||
| 10GBASE-CX | IEEE 802.3ak | 4対2芯銅線(CX4)同軸 | 15m | |||