SUPER GT(スーパージーティー)は自動車レースの1カテゴリー。市販車を大幅に改造した車両で争われる。2004年まで全日本GT選手権 (JGTC) として開催されていたカテゴリーを2005年より国際シリーズ化したものである。運営は同シリーズに参加するエントラント(レーシングチーム)らの代表によって構成される、任意団体のGTアソシエイション (GTA) が行っている。
2007年現在シリーズとしての自動車レースでは、1レース3万人~6万人と日本一の観客動員数を誇る。2006年には、いくつかのインターネットサイトで生中継され(2007年は録画放送)、2007年にはBS日テレにて、ハイビジョン放送(録画)されるなど、ますます人気が高まっている。
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旧JGTCでは日本国内に加え、2002年よりマレーシアでシリーズ戦を開催してきたが、(2003年のみ中止)その人気の高さから海外のサーキットからの誘致話も多く、2005年シーズンはマレーシアに加え上海でもシリーズ戦を開催することが予定された。(その後上海でのレースは、現地オーガナイザーの受け入れ態勢が整っていないなどの理由で中止された)
従来JGTCは日本自動車連盟 (JAF) の管轄下でレースを開催してきたが、3ヶ国以上でシリーズ戦を行うことは、国際自動車連盟 (FIA) の定める国内選手権の規定[1]から外れることになるため、JGTCはJAFの管轄下を外れざるを得なくなった。またそれに伴いJGTCは「全日本選手権」を名乗ることが許されなくなった[2]。
そのため運営事務局ではシリーズ名の変更を検討し、一度は「Super GT World Challenge」という新名称を発表するが、FIAより「World Challengeという名称は世界選手権 (World Championship) との誤解を招く」という理由からその部分を削除するよう求められ、最終的に「Super GT」という名称に落ち着いた。その後、GTAが2006年3月に発行したプレスリリースでシリーズ名表記を「SUPER GT」で統一する事が公式発表されている。[3]
なお、2006年・2007年シーズンは、日本とマレーシアでのみシリーズ戦を開催する予定となっており、その気になればJAF管轄下に復帰し再び「全日本選手権」を名乗ることも可能であったが、GTAでは「レギュレーションの改訂においてJAFの意向に束縛されない」「統一したレースディレクターの採用が可能」などといった理由を挙げ、2006年以降もJAF管轄外で独自にレースを行っている。
マシンについては、原則としてグランドツーリングカー(GTカー)である。つまり市販車を改造したものでなければならない。マシンはGT500クラス、GT300クラスの2クラスに分かれている。両クラス共通の特徴としては、車重が1100kg程度でフォーミュラカーほどではないが、市販状態よりかなり軽い。最高速は、他のカテゴリーより小さいリストリクターを装着しているため、FIA GT選手権などの海外GTレースの車両に及ばないが、コーナリングスピード(カーブを曲がるスピード)がずば抜けて速く、市販車ベースの他カテゴリー車両と比較しても異次元である。エンジンは、ベース車両を作っているメーカーのものでかつ、FIA公認もしくはJAF登録されているものであれば搭載してもかまわない。また例外的に他社のエンジンも購入できる。JGTC時代の2003年から駆動方式も変更してもかまわない。このようにかなり改造の範囲が広いが、レギュレーションで細かく決まりがある。それぞれのクラスの特徴は以下のとおり。
最高出力・500馬力程度、最高速・約300km/h、ゼッケンの色・白地に黒、ヘッドライトの色・白色又は青色。又このクラスはトヨタ、ホンダ、日産の三メーカーが巨費を投じて改造したマシン(ワークスマシン)が主体であり、それは世界でももっとも性能の高いGTカーである。したがって、海外のメーカーや日本のメーカーのGTを購入し、多少改造したマシンを走らせる個人(プライベート)チームが活躍する場面は少ない(このレースの前身、全日本GT選手権が始まった当初はそうでもなかった)。なお海外メーカーのワークスマシンは今のところない。
GT500クラス参戦車両は、レクサス・SC430(旧名ソアラ)、トヨタ・スープラ(2006年に撤退)、日産・フェアレディZ、ホンダ・NSX、マクラーレン・F1GTR(2005年に撤退)、フェラーリ・550マラネロ(2005年に撤退)、ランボルギーニ・ムルシエラゴ(2006年からGT300クラスに変更)などである。なお、2006年にチーム郷がマセラティ・MC12で新規参戦を予定していたが、特認パーツを用いても国産ワークスに対抗することは難しいと考えられ、参戦を見合わせることになった。
なお2009年からは、フォーミュラ・ニッポンとエンジンの基本仕様を共通化した3.4リッター・V8エンジンを使用する方向で現在調整が進められている。
最高出力・300馬力程度、最高速・約270km/h、ゼッケンの色・黄色地に黒、ヘッドライトの色・黄色。このクラスはGT500クラスと違い、改造費用が安いために、プライベートチームも充分に優勝の可能性があるクラスとなっている。そのためフェラーリ、ランボルギーニやポルシェなど、メーカーのサポートを受けていないが、この車がレースに出ているところを見たいなと思うような車がたくさん出ている。しかし、やはりワークスマシンのほうが若干有利である。だが2006年第一戦 鈴鹿はランボルギーニ・ムルシエラゴが優勝。プライベーターでは珍しい優勝を遂げた。
GT300クラス参戦車両は、トヨタ・MR-S、トヨタ・セリカ、日産・フェアレディZ、ホンダ・NSX(2006年に撤退)、マツダ・RX-7、スバル・インプレッサ、ポルシェ・911GT3R、ポルシェ・ボクスター、ポルシェ・968(2005年に撤退)、フェラーリ・F360モデナ、ランボルギーニ・ムルシエラゴRG-1、シボレー・コルベット(2005年に撤退)、ヴィーマック・RD320R/RD350R/RD408R、モスラー・MT900R、ASL・ガライヤ(2005年に撤退。だが、2007年に再び参戦)、ムーンクラフト・紫電、フォード・GTであり、GT500に比べて車種のバリエーションに富んでいる。2007年から、新たにランボルギーニ・ガヤルドやポルシェ・911の997型がエントリーしている。
SUPER GTのGT500クラスに参戦しているワークスチームとセミワークスチームについて紹介をする。
2005年まではスープラで参戦していたが、2006年よりレクサス・SC430を投入している。2006年はSC430の供給が4台にとどまったため、スープラ(05年型モデル)も2台投入していたが、2007年からはレクサス・SC430に統一した。現在は、トムス・セルモ・ルマン・クラフト・土屋エンジニアリング・サードの6チームが参戦しており、エントラント名は「TOYOTA TEAM ○○」に統一している。エンジン・メンテナンスは全車トヨタテクノクラフトが行っている。近年は反省点を活かしゼロベースで車両開発を行うため、車両製作が遅れることもあるが、開幕戦には十分な戦闘力を有しているなど、開発には定評がある。
シリーズ発足当初よりNSXで参戦しており、2007年は5台を供給。参戦チームはARTA・童夢・チーム国光・NAKAJIMA RACING・REAL RACINGの5チーム。エンジン・メンテナンスは全車M-TECが担当している。2005年開幕時は前年に引き続き3,000cc ターボチャージドエンジンを採用し、苦戦を強いられていたが、第3戦マレーシアGPよりARTA-NSXに3,500cc NAエンジンを投入したところ2位という好成績を収め、その後全車に投入し他陣営を追撃した。2006年も好調で、4勝を挙げたがチャンピオン獲得は成らなかった。2005年・2006年には「Team Honda Racing」(監督は童夢の中村卓哉)としてARTA・童夢の2台を参戦させていたが、2007年よりARTAと童夢とが再度 独立したチーム(車両メンテナンスは童夢のまま)として参戦している。
シリーズ発足当初よりフェアレディZで参戦しており、2007年は5台を供給。参戦チームはニスモ・ホシノレーシング・ハセミモータースポーツ・KONDO Racingの4チーム。エンジン・メンテナンスはニスモの2台がオーテックジャパンでそれ以外の3台を東名エンジンが担当している。他陣営と比較しJGTC時代とは対照的に苦戦気味であり、2006年の最終戦では1台のみにフーガに搭載されているVK45DEベースの4,500cc V8 NAエンジンを搭載。2007年は3,000cc V6 T/CからV8 NAに順次切り替えている(ニスモの2台は開幕戦から、他チームは第3戦から)。
基本的には通常のタイムアタック方式とスーパーラップ方式を組み合わせた形で行われている。スーパーラップには各クラス予選1回目で10位以内になったチーム(マシン)のみ参加ができ、10位のチームから一発本番の1周のラップタイプを競い、ラップタイムの早い順にスタートグリッドが決定する。
スーパーラップのアタック中は、約半周差で前後にアタックする(した)マシンがコース上にいるが、事実上アタック中のマシンしかいないため、ドライバーが選曲したBGMが流され、観客とチームが一丸となって贔屓のチームを応援することができる。
2007年第3戦富士では、TAKATA童夢NSXがゴールデンウイーク中ということもあり、多くの家族連れを意識してか人気アニメ(漫画)名探偵コナンとコラボレートし、スーパーラップ中にピットに主人公のコナンが登場。BGMにあわせながらコナン(の声優)が応援するなどのチーム独特の演出も見られた。(このときTAKATA童夢NSXは、見事ポールポジションを獲得。)
しかし全20台の走行に時間がかかり、路面温度に差が出過ぎるなどの問題点もあり、2007年第7戦のもてぎでは、試験的にF1と同じノックアウト方式が採用された。
GT500、GT300と続けて、ローリングスタート方式で行われる。フォーメーションラップを(通常1周)行い、ペースカーがコースを外れ、信号が青になった一斉にスタートとなる。ただしコントロールライン(スタートライン)と通過するまでは追い越しは禁止されている。
旧JGTC時代からの特徴として、予選・決勝の上位成績マシンには重りの搭載(ウエイトハンデ)を義務付けることによって、同クラス内の全マシンの実力の拮抗を図っている。上位成績を重ねるごとにウエイトハンデも増す規定の為、当然ながら、勝ち続けることは困難になってくる。また、かつては決勝中にファステストラップを記録したマシンに対してもウエイトハンデを課していた(決勝ファステストラップに対するハンデは2007年より廃止)。現在は、GT500クラスは100kg、GT300クラスは80kgが最大積載量となっている。ウエイトは、50kgまでは鉛板でマシンのアシスタントシート部分に取り付けるが、50kgを超える部分については搭載場所は自由とされている。
決勝の成績が下位(2007年現在は6位以下)になった場合は次戦以降のウエイトハンデを多少軽減できるほか、ウエイトハンデが一定以上(2007年現在はGT500クラスで100kg以上、GT300クラスで50kg以上)になると、過度な重量増にサスペンション等が耐えられない恐れがあるため、安全面の確保という観点からリストリクター径を1ランク縮小する(=エンジンパワーがダウンする)代わりにウエイトハンデを50kg軽減できる。
しかし、過去にはウェイトの搭載を嫌ってわざと順位を操作したりするなど、マシンの性能やチーム戦略・成績とウエイトハンデは密接に関係することから、その具体的内容については毎年議論が絶えず、ここ数年は毎年制度に何かしらの変更が加えられている。
各レースの予選や決勝で基準タイムより遅いマシンや、ポイントランキングで下位のマシンに対して、救済措置としてリストリクター径の拡大(=エンジンパワーアップ)による性能の引き上げ措置が施される。
現在日本国内で開催される四輪モータースポーツにおいて最も多くの観客動員を集め、経営も順調だと思われていたSUPER GTであったが、同シリーズの運営組織であるGTAが、実は約2億数千万円にも上る債務超過状態に陥っていたことが2007年3月に明るみに出た。
直接の原因は「スポンサーの一社が倒産したため、当初予定されていた協賛金が入金されなかったこと」とされているが、元々GTAは2005年にも年間で約1億円ほどの赤字を出していた経緯があり、以前から「シリーズのプロモーション等(特に『激走!GT』等のテレビ番組の制作)に費用をつぎ込みすぎているのではないか」といった疑問を、エントラント(レーシングチーム)側から持たれていた。
この問題を解決するため、GTAでは従来組織運営の中枢を担ってきた理事会ならびに事務局を解散した上で、同月に行われたGTA総会において新たな運営組織として「GTA委員会」を発足させることを決定。GTA委員会の委員長にはRACING PROJECT BANDOH代表の坂東正明が就任し、シリーズ運営については従来の体制を維持しつつも、プロモーションに関しては年内にも新法人を立ち上げ、運営コストの見直しによる黒字転換及び債務一掃を図る方針を表明し[4]、その宣言どおりシリーズ最終戦前の記者会見において「株式会社GTプロモーション」(社長はKRAFT代表の平岡寿道)を設立したことを発表した[5]。
なお坂東は将来的にGTA自体の法人化を行いたい意向も示しており、その際には現在SUPER GTにワークス参戦しているトヨタ・日産・ホンダの3メーカーの出資を仰ぎたい考えも明らかにしている[5]。
国内のモータースポーツにおいて最も隆盛を誇っているSUPER GTであるが、その人気の原点は重量ハンディキャップ制を導入するなど、勝負の面白さ(特定のチームに勝利が集中することをさけた)に着目した運営面を理由の一つに挙げられる。ところで、SUPER GTが人気を集める中、反比例するかのように、国内フォーミュラレースの人気が無くなってきており、特にF3等のミドルフォーミュラにその傾向が顕著である[6]。そこで、各自動車メーカーが期待する若手ドライバーを、育成プロジェクトとしてGT300クラスの提携チーム等に送り込むことが多くなってきた(人気レースの方が資金・スポンサー面で有利)。しかし、この試みは今のところ、あまり機能していない。
本来、ドライバーはレースにおいて、扱うマシンを限界まで性能を引き出し、1分・1秒を削りとる能力が要求される。しかしSUPER GTでは、重量ハンディキャップという人為的にコントロールをされた状態で戦うため、必ずしもマシンの能力を完全に引き出せない。また、シリーズチャンピオンを獲得するために、重量制限を軽減するためわざと順位を落とすなどのケースが過去にもあった。
また、SUPER GTマシンは性能が高いとはいえいわゆるツーリングカーであり、フォーミュラカーとはセッティング方法が大きく異なってしまう。このため本カテゴリーからF1やインディ・レーシング・リーグ (IRL) などへのステップアップを目指すのは難しい。
ツーリングカーレースとして本カテゴリーに匹敵する規模・人気を誇るレースとしては世界ツーリングカー選手権 (WTCC) ・ドイツツーリングカー選手権 (DTM) 等があるが、DTM・WTCC・SUPER GTのマシンはそれぞれ全く性格が異なる上、DTM・WTCCには日本の自動車メーカーや(スポンサーとしての)大企業がほとんど参加していないためバックアップも得られにくいことから、ツーリングカー分野での海外進出も難しい(事実、過去日本人ドライバーがDTM・WTCCにフル参戦した例は、2003年に金石勝智がDTMに参戦したのみである)。
この結果本カテゴリを卒業したドライバーの受け皿がないのが現状であり、将来の人気ドライバー育成という観点からは少々問題である。
近年のスポーツカー離れを懸念し、若いうちからより多くの子供にサーキットに脚を運んでもらおうと、中学生以下無料や、2006年よりキッズウォークと呼ばれる、子供を対象にした無料のピットウォークが開催されている。キッズウォークは、普通のピットウォークと大きく異なり、参加者できるのは中学生以下の子供とその保護者だけあり、子供へのGTカーのラジコンやダイキャストモデルといったプレゼン(ただし抽選)が準備されている。また子供を連れてきた父親向けのプレゼンなどを配るチームがあるなど、その試みは見事的中し、近年家族連れの観客が増えたのは事実である。
2006年シーズンからGTAが自ら映像制作(所謂オフィシャル映像)を行い、CS、地上波等へ供給を開始した。実況下田恒幸、解説由良拓也、レポーター高橋二朗の出演者陣。
CS放送J SPORTSの中継は、コメンタリー部分を差し替えて放送されていたが、2007年はそのまま放送されている。また、J SPORTS Plusでは7月1日からe2 by スカパー!においてHDでの放送を行っている。
また、インターシリーズ化に伴い2005年より海外でも本格的な放送がスタートしているため、放送が国際映像として使われる関係から、番組中のテロップについて、従来日本語表記だったものを原則として英語表記に切り替えている。
2007年からはBSデジタル放送BS日テレにてHD制作番組の録画放送(2時間の放送枠に収まるよう編集)が開始され再放送も行われている。
テレビ東京がSUPER GTを中心とする情報番組『激走!GT』を放送しており、同番組中でレースダイジェストが放映されている。詳細は同項を参照。
また、2006年シリーズからはフジテレビのモータースポーツ情報番組『モタ・スポ!』でもレースダイジェストが放映されている他、テレ玉他で放送されている自動車情報番組『CAR Hyper』ではGT300クラスを中心としたレースリポートが放送されている。
モバイル放送ではモバHO!のチャンネルONEが2005年からライブ放送継を行っている。
いずれも2006年から放送を開始した。2006年はYahoo!動画にてライブ配信を行っていたが1年で終了。SUPERGT.netとGyaOとDOING.TVは2007年にも録画配信。
| GT500ドライバーズチャンピオン | ||
| 年 | チャンピオン | マシン |
|---|---|---|
| 2005年 | 立川祐路、高木虎之介 | ZENTセルモスープラ |
| 2006年 | 脇阪寿一、アンドレ・ロッテラー | OPEN INTERFACE TOM'S SC430 |
| 2007年 | 伊藤大輔、ラルフ・ファーマン | ARTA NSX |
| GT300ドライバーズチャンピオン | ||
| 年 | チャンピオン | マシン |
|---|---|---|
| 2005年 | 山野哲也、佐々木孝太 | RECKLESS MR-S |
| 2006年 | 山野哲也、井入宏之 | 雨宮アスパラドリンクRX7 |
| 2007年 | 大嶋和也、石浦宏明 | TOY STORY Racing apr MR-S |
2004年以前の歴代チャンピオンは全日本GT選手権の項を参照。
また各年の詳細については下記囲み内のリンクを参照。
| 全日本GT選手権・SUPER GT |
|---|
|
1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 |